空間の切り替えを緩やかにしたい。滑らかに動線を作りたい。他にはない面白い間取りにしたい・・などなど、そんな時はアーチや曲線を取り入れてみては。ついつい直線で考えてしまいがちな間取りですが、曲線を入れると遊び心のある住まいが実現できるかもしれません。アーチや曲線といっても作り方や取り入れ方はいろいろ。リノベーション現場での曲線の作り方と、上手に取り入れた事例をご紹介します!
記事の著者
松下文子
Arts &Crafts 取締役副社長
大阪府生まれ。大阪市立大学生活科学部居住環境学科を卒業。不動産デベロッパーを経て、2014年にアートアンドクラフトに入社。不動産の知識を活かし、自分らしい住まいづくりのコーディネートをしています。二級建築士/宅地建物取引士。
アーチ開口枠
まずは開口部の上部を丸くする、アーチ枠。少し古めのマンションだと、洗面の入り口などがアーチ枠になっていてデザインのポイントになっていることがあります。そんな時はぜひ、そのまま残して使ってしまいましょう!新規で作る場合は、あらかじめアーチ状に加工された既製品のアーチ枠を使うのが一般的。円枠、トップオーバル枠、角丸枠などいろいろな種類があり、それぞれ印象が異なります。(参考:みはしアーチ開口枠)
アーチ開口枠を使った事例
・キッチンの奥にある「おこもりの間」。2畳ちょっとの小さな空間ですが、トンネルをくぐって秘密基地に向かうような印象でワクワクしてしまいます。
・スニーカー、本、音楽・・など多趣味なIさんの住まい。開口部の上部は角を丸くしてあります。小さな違いだけど、グッと空間のつながり方の魅力が増します。モルタルとフローリングの滑らかなつながりにも注目です。
・番外編・開口ではなく、壁際をアーチに造作することもできます。柱と梁に囲まれた味気ない白い壁に一気に奥行きが出て、魅力的になったと思いませんか。
アールの壁
部屋の仕切り自体を丸くしたい場合は、アールの壁を立てます。デザインはもちろん、空間を緩やかに繋ぎたい場合や、奥に引き込むような動線を使いたい時など、また、直線で仕切ると寸法が確保しにくい場合などに活躍します。
アールの壁を作りたい場合は、壁を立てる位置に細かいピッチで木軸を立てていき、そこに曲げ合板を固定していきます。通常合板は繊維の方向をクロスさせながら板を重ね合わせて作りますが、曲げ合板とは繊維が同じ方向になるように張り合わせて作られていて、曲線を描くことができるように作られたものです。また、マンションの高層階など、内装制限がある場合はエフジーボードという曲げられる不燃ボードを使う場合もあります。この、エフジーボードは施工前に水に浸して、柔らかくするんです。おもしろいですね!
アールの壁を使った事例
・玄関を入ると広い土間空間、シナの曲げ合板仕上げのストレージを作った事例。リビングへと緩やかな曲線で動線がつながります。
・リビングの一角に設けたエクストラルーム。緩やかなアールが視線も動線も緩やかに繋ぎます。
床材を曲線で切り替える
フローリングとカーペット、モルタルとフローリングなど、玄関やリビング、個室の床材を曲線で切り替えるのも面白いアイデアです。壁はたてずになんとなく空間をくぎりながら、広々と住まうことができます。
床材を曲線で切り替えた事例
・カラフルで遊び心満載の住まい。栗の無垢材の床と、鮮やかな緑のカーペットを曲線で貼り分けました。白と黄色の腰壁の奥は仕事場になっています。緑のカーペットは犬の歩き道にもなっているそう。
・土間と玄関を曲線で仕切るのも空間に広がりを持たせる良いアイデアです。上がり框を木で仕上げるときは家具屋さんの出番。あらかじめきれいに仕上げた框を現場に持ってきて床材と合わせて施工します。
おまけの丸窓
最後は室内窓を丸窓にしてしまった事例。リノベーションで「船」をモチーフにすることがあります。船舶照明はすっかり有名になってしまったけど、丸窓も忘れないで!ついつい覗きたくなってしまいそう。他にも、丸窓用の木枠や、和室用の丸窓枠などが販売されています。
・室内の随所に船舶をモチーフにしたデザインが見られる事例。洗面の引き戸には、丸窓を埋め込みました。
ー
曲線って使うのに勇気がいる?そんなことはありません。事例を見てワクワクした人は、きっと曲線予備軍。住まいを考える際にひとつはぜひ取り入れてみたいですね!物件を探したい、リノベーションしたいという方はお気軽にアートアンドクラフトにご相談ください。
また、大阪R不動産とLINEではリノベーション向けの物件を紹介しています。ぜひご覧ください!
ー==============ー
文:松下文子 Arts &Crafts 取締役副社長