建築基準法で定められている『内装制限』。リノベーションにも関係あるの?!と思うかもしれませんが、一定の条件では、リノベーションの計画の際にも注意が必要です。建物の種類によって細かい制限がありますが、ここでは主に住まいのリノベーションに関わる内装制限について抜粋してまとめました。
*細かい規定については割愛しています。詳細は国土交通省のサイトで法令の本文をご参照ください。
*建築基準法上の内装制限の他に、消防法等、その他の法令の制限もあります。
*自治体によって規制が異なる場合があります。
内装制限とは?
建築基準法で定められている内装に関わる決まりのこと。火災が発生した時に、火災の拡大や煙の発生を遅らせ、避難を可能にするため、一定の条件の部屋では室内の仕上げに準不燃材料(または難燃材料)の使用が義務付けられています。主に定められているのは床からの高さ1.2mを超える部分の壁と天井。床や建具は対象外です。
==マメ知識==
防火材料とは・・一般の建築材料と比較して発火が遅い建材。防火の性能が高い順に不燃材料、準不燃材料、難燃材料の3つに区分される。
不燃材料:コンクリート・レンガ・陶磁器質タイル・金属板・モルタル・せっこうボード(厚さ12mm以上、ボード用原紙の厚さが0.6mm以下)など
準不燃材料:せっこうボード(厚さ9mm以上、ボード用原紙の厚さ0.6mm以下)・木毛セメント板(厚さ15mm以上)など
難燃材料:難燃合板(厚さ5.5mm以上)・せっこうボード(厚さ7mm以上、ボード用原紙の厚さが0.5mm以下)など
その他、各メーカーの商品で国土交通省の認定を受けたものがあります。
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使えない建材はどんなもの?
内装制限がある場合、使用に注意が必要なよく使う建材は主に以下のようなものがあります。実現したいデザインがある場合は、制限をよく確認しましょう。
・防火認定を受けていない木材・木化粧材 など
・輸入クロスや紙クロスなど、防火認定を受けていないクロス など
リノベーションの計画で内装制限はどこにかかる?
では、具体的にはどこの計画をするときに内装制限に気をつける必要があるのでしょうか?一般的な住宅リノベーションで内装制限に気をつけなければいけないのは次の3つの場合です。
火気使用室
– 主に木造住宅など主要構造部が耐火構造ではない建物で、ガスコンロを使用するキッチンに内装制限がかかります。また、平屋住宅の場合、キッチンが最上階にある場合も制限はかかりません。
キッチン周りの壁や天井の仕上げ材を選ぶときのほか、キッチンを元々和室がある場所に移動したい場合など、その部分が和天井であれば天井を準不燃材料で作り直すことが必要になる場合があるなどが考えられます。
IHコンロにした場合は火気使用室には当たりませんので制限はありません。また、その他細かい緩和規定があるのでキッチン全体への制限が避けられる場合もあります。
共同住宅で、31mを超えるの高さにある居室・通路・階段
– マンション(共同住宅)の階高はだいたい3m程度なので、10階以上の部屋で工事対象をする場合には全ての居室と廊下に内装制限がかかります。31mより高いかどうかは竣工図書から判断できます。壁に防火認定をとっていないクロスや木材を貼ることはできません。
ただし、天井に準不燃材料を貼った場合には壁は木材等を貼ることができるという緩和規定もあります。
自動車車庫
– 車やバイクを室内に入れられるガレージハウスに憧れを持つ人も多いですが、車庫にも内装制限がかかるので素材選びには注意が必要です。
プロに相談しよう
内装制限があったから、全く思い通りのリノベーションができなかった!ということはあまりないかと思いますが、知識が浅いと、いつの間にか違反している状態になっていた、壁や天井のやりかえで想定以上の費用がかかってしまったなんてことも。いざというとき身を守るための規定なので、きちんとクリアしながらリノベーションの計画を進めたいですね。
アートアンドクラフトでは建築士の資格を持ったアーキテクトが設計〜現場監理まで担当しています。リノベーションをお考えの方はまずはご相談ください。
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文:松下文子 Arts &Crafts 取締役副社長