お手入れは簡単かもしれないけど、ユニットバスのつるっとした感じはあまり好きではない。タイル貼りの浴室に、置き型のバスタブを置いて、好きな空間で気持ちがいいバスタイムを過ごしたい!大きな窓をつけて自然光を感じながらお風呂に入りたい。ユニットバスとタイル貼りの在来浴室の違いや、リノベーションでタイル貼りの浴室を実現する場合の注意事項をまとめました。
目次
ユニットバス・在来浴室・ハーフユニット
ユニットバスとは
ユニットバスはシステムバスとも呼ばれ、浴槽・壁・床・天井、その他備品があらかじめセットになっている商品。パーツごとに運び込まれ、現場で組み立てて完成します。防水性が高く、比較的安価でスピーディに工事ができることから、ほとんどの住宅ではユニットバスが採用されています。ユニットバスは規格が決まっていて、一般的に「1216」や「1416」など、浴室の縦横の内寸で寸法が表記されます。(「1216」=1200mm×1600mm、「1416」=1400mm×1600mmなど)
ユニットバスのメリット
・防水性が高く、水漏れリスクが少ない
・継ぎ目が少なく、掃除がしやすい・メンテナンス性の高い商品が多い
・スピーディーに施工が可能・メーカーが責任施工をする場合が多く、不具合の際の責任の所在が明確です。
・浴室全体、浴槽に保温剤が施工されており、
・比較的安価な商品から高価な商品まで、予算に合わせて選べます。
ユニットバスのデメリット
・あらかじめ寸法が決まっていて、設置が難しい場合があります。
・商品によって選べる設備やカラーが決まっているので、セレクト・デザインの自由度は低い傾向があります。
在来浴室とは
ユニットバスに対して、在来浴室は現場で防水処理を施し、浴槽、壁などを造作する浴室のこと。ヒノキを使ったりタイル仕上げにしたり、猫足のバスタブを置いたり。デザインはもちろん、サイズや形も自由に決められます。
在来浴室のメリット
・デザインが自由
・形が自由なので、ユニットバスが入らない場所・ユニットバスだとデッドスペースが多くなってしまうところにも入れられる。
・浴室が必要ない場合は、シャワーのみ設置してシャワーブースを作ることもできます。
在来浴室のデメリット
・適切な防水処理が必須。水漏れへの懸念からマンションでは工事許可が降りないことも。
・選ぶ素材によるが、ユニットバスのように一体化されていないために手入れの手間があります。
ハーフユニット
ユニットバスと在来浴室の間くらいの存在として、ハーフユニットという商品もあります。ハーフユニットは、浴槽と浴槽の高さまでの壁と床がセットになっています。好きなデザインを取り入れた浴室にしたいけれど、水漏れが心配、ある程度のメンテナンス性は欲しいという場合にはおすすめなのはハーフユニット。最近では、置き型のバスタブをセットにしたハーフユニットも発売されています。ただし、組み上がった状態で納品されるので、搬入経路は要確認です。
コストアップと工期の延長は覚悟で!
自由なデザインが実現できる在来浴室やハーフユニット。木工事、タイル工事、左官工事、設備工事、水道工事・・など、さまざまな工事が関わるのでユニットバスの交換と比較するとコストはグッとアップします。また、通常より工期がかかることを覚悟した上で検討しましょう。
防水には細心の注意を
在来浴室では一般的にアスファルト防水や、FRP防水が採用されますが、アートアンドクラフトでは、できるだけ防水パン(洗濯パンの大きいバージョンがイメージに近いと思います)の採用をおすすめしています。特にマンションの場合、将来的に下階へ万が一水漏れしてしまった場合のリスクを考えると、費用はかかっても対策をしておく方がいいためです。戸建ての場合も、1階に浴室があれば下階への被害はないものの、水漏れが発生すると建物の傷みやカビ・シロアリの発生につながることもあります。防水には細心の注意を払い、コストがかかっても水漏れのリスクを減らす方法を検討しましょう。
在来浴室のリノベーション事例
・ビルを購入して、1階と2階の一部はテナント貸しし、2階の一部と3階を住居としたWさんの住まい。ガラス張りのバスルームは洗面とイメージを合わせてタイル仕上げとし、置き型の浴槽を置きました。
・神戸の海を眺められる戸建て住宅を購入してリノベーションしたNさんの住まい。入浴しながらでも海が眺められる配置にするため、L字の変形空間をタイル貼の在来浴室で実現しました。
・コーポラティブハウスの草分け的存在、都住創のメゾネットの一室を購入してリノベーションされたHさんの住まい。浴室はメゾネットの上階に設置し、室内のデザインと合わせて左官仕上げとしました。シャワー水栓、バスタブは海外製品(FONTE TRADING)を採用。
・注文住宅の在来浴室の浴槽を入れ替えてタイルを施工した事例。
ハーフユニットのリノベーション事例
・「浴室をバルコニーの方に大移動して、植物を置いてジャングル浴室にしましょう!」という設計者の提案にいいですね、とのってくれたTさんの住まい。もともと個室があったところに浴室を移動。サブウェイタイルとガラスブロックを使った浴室を作りました。
・洗面と浴室に同じタイルを繋げて施工した事例。タイルのつながりが見えるように、扉の隣にはFIXガラスの窓を設置しました。
・一軒家の2階をリノベーションし、宿泊施設にした事例。ハーフユニットにタイルを施工しています。
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施工の難しい点はあるものの、採用すると浴室のデザインの幅がグッと広がる在来浴室やハーフユニット。これこれ、絶対これがやりたい!という方はアートアンドクラフトにご相談ください。
大阪R不動産では、リノベーションの素材となる物件紹介もしています。
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文:松下文子 Arts &Crafts 取締役副社長