「考えてもなかった街に暮らすことになって…」
なんて台詞はドラマチックだなあと思わされるものです。
馴染みのない場所は不安だけれど、先入観で決めてかからず
自分の価値観で住む街を選べば選択肢はぐっと広がるはず。
そんな住まい選びを実践した人たちを連載で訪ねます。
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店舗付住居を探していた 田伏絵津子さん(カフェ経営)の場合
「朝起きて身支度をしたら店に降りて、掃除をして、パンを焼く。
生活のペースって大事で、ちゃんと休まないと続けられないですからね。
だから日々心がけているのは時間をいかにうまく使うか。」
ちゃきちゃき仕込みをしながら話してくれた田伏さんは、大阪市阿倍野区にある
鉄骨テラスハウスでお店をしながら上階に住んでいます。
▲1階が店で2,3階が住居。前はカラオケ喫茶(兼住居)として使われていた愛嬌ある外観。
―以前はどちらで店を?
実は植物園で働いてたんです。
「パンを出すカフェがしたい」そう考えながら、仕事の傍ら
店を持たずにパン作りを続けていました。
焼いたパンを知人の店で販売させてもらったりマーケットに出店するうちに
楽しみにしてくれるお客さんが増えてきました。
―店をもつとなった時、この街の決め手は何でしたか?
場所にこだわりはありませんでした。
24時間酵母の管理がしやすいという理由から、家と店が同じっていうのが条件。
そう決めてからは居抜き(*)の店舗付住居にしぼって探しました。
場所はどこでもいいから“駅から徒歩10分以内であること”。
(*)営業用設備が付帯した状態で賃貸される物件のこと
―どこでも!? 無謀だって言われませんでしたか?
食いしん坊な人はちょっと探してでも行くでしょう?笑
実際、私もそうだから。
これまで(不定期で出店していた頃)の経験で、
ここにしかないものを提供すればお客さんは来てくれる確信があったんです。
ようやく見つけたこの建物。
当時の田伏さんにとっては縁のなかった阿倍野区でしたが
最寄り駅からの道のりと一人で切盛りするのに良いサイズが気に入り、
決めたそうです。知人の協力で少し工事をしてアンティークの家具や
譲っていただいた家具を並べ小さなカフェ「ハナウタ」をスタート。
週末は遠方からのお客さんが訪れるほか、口コミでも徐々に広まり、
伺った平日は、近所の方が入れ替わり翌日の朝食を買いに立ち寄られていました。
阿倍野区には田伏さんのように住みながら小さな店やアトリエをもつ人が増えています。
個人商店のつながりが、エリアのローカリティとなり
よそから来る人と地元の人の気さくな交わりを見せる阿倍野区。
小さくても自分の店を持ちたい!街の人と親しみを感じあえる距離で生活したい!
という人は住人になったつもりで一度散策してみては?
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