WORKS

街を彩る小商い長屋

かつての日本はどの街にも小商いがあり、人々の暮らしを支え、潤いを与えていました。しかし時代は進み、大資本の台頭によって小商いが減少し、シャッターが閉まったままとなっている風景は全国各地に見られます。
対象物件は、日本でも屈指の人口密度を抱える大阪市城東区にある、4
軒長屋。高度経済成長期の初頭に建てられ、かつては寿司屋、クリーニング店、カメラスタジオなどが入る店舗併用住宅として街へ活気を与えてきましたが、オーナーが相続した時点では全てが空き家でした。幼少期にはこの4軒長屋の一区画で暮らし、この街でで遊んだ記憶も鮮やかに残っているオーナー。「相続したからには街のためになるような活用がしたい。」そんな想いを持って相談に来られました。建物の文脈を読み解き、「街を彩る、小商い長屋の復刻」をコンセプトに、リノベーションで再生することになりました。

竣工後の外観。増築部を除却し、外壁を修繕して建物を成立させるところから工事がスタート。ファザードに統一感を持たせて建物全体のブランディングをはかっている。

外部シャッターを設置すると見た目が損なわれるため、建物のデザイン性を高めつつ、視認性を抑えて簡易的な防犯効果も持たせられるよう、中空ポリカーボネートを使用した外部建具を特注で制作。

扉を開けると隣同士の2枚が重なるデザイン。ちなみに、4軒長屋の「4」をデザイン要素に取り入れています。

 

 

増築部を除去してできたスペースは、各区画の入居者が専用使用できる庭へと整備した。

オーナーのお母さんが大切にしている神棚。室内から外に移設。

3方向が道路に囲まれた明るく視認性の良いストック。角張った外観の面白さはそのままに、外壁や屋根を修繕。

一部の外壁をセットバックして、メーター・室外機関係をまとめる場所に。

各インフラは引き込み部分まで整え、室内はスケルトンに。

内部は借主が自由に空間づくりができる。

工事前の状態。無秩序に増築され、統一感のない状態。増築部は傷みがひどく、傾いていた。それでも、3方向が道路に面した明るさや、角張った外観の面白さが垣間見えるストックだった。

竣工後、屋台づくりのワークショップを開催。「この長屋を再び街へ開くこと」を狙いとし、周辺住民へのお披露目をしました。

 

 

 

 

 

用途変更の建築確認申請が不要な範囲に職種を絞ってリーシングを実施。街の小さな複合施設を目指し、テナント同士の交流、購買の相乗効果も狙っています。

【区画A】同じ城東区内で、ヨガインストラクターをしていた借主。

物件との出会いを機に、自身のスタジオをつくりました。

【区画B】馴染のある地元で夢だったグリルホットサンドイッチ屋をオープン。2階では古着とアクセサリーも販売。

近くの歯医者から日々送客があっていい循環が生まれている。

【区画C&D】地元で8年営業する美容室が移転拡大で入居。

街の幅広い世代の方が毎日訪れます。

大通りから1本入った場所だからこそ、チェーン店ではなく、地域に縁がある個人商店が集まり、再び街を彩る存在となっている。 

担当者より

約1年のプロジェクト期間でリノベーション企画から設計・施工・リーシングまで走りきりました。改修は解体してみないと分からないことが多いですが、今回は特に繰り返しのリフォームと大きな増築部があり予測不明なことが多くありました。工事中に地中からレンガが出てきたり、階段がひとつ崩落したりと予想外の出来事も。私たちの熱量はもちろんですが、そんな困難を乗り越えられたのもオーナーの建物と街へ対する強い想いがあったからこそだと思っています。入居頂いたテナントが楽しく稼いで、街へと開き、住まい手にとって彩りが増える、そんな豊かな循環を生み出し続けてほしいと思います。(谷口)

OUTLINE

OUTLINE 

物件名/今福鶴見の4軒長屋 

所在地/大阪市城東区 

構造/鉄骨造2階建 延床面積229.74 

築年月/不詳 

従前用途/店舗付住宅 

改修後用途/店舗・事務所 

大阪R不動産で入居者を募集しました。

「街を彩る、コアキナイ長屋!」

*工事費:3610万円(税抜) 

 

写真:増田好郎 

STAFF

コンサルティング:谷口琢海 

設計監理:西面莉沙 

リーシング:谷口琢海 

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