東大阪市永和に建つ、平屋建ての6軒長屋。木造長屋や文化住宅など古い町並みの残る閑静な住環境をできるだけ損なわないように、建物の古さを”味”として残しつつ、建材や設備は現代の暮らしに合わせてリノベーション。第一期(2017年)・第二期(2023年)にわたって空室化した住戸から順番に、それぞれの状態に合わせて異なったコンセプトを持たせた三者三様の賃貸物件を計画しました。リノベーション後はマンション暮らしではできない庭・土間・縁側のある暮らしに惹かれた20代-30代の新たな層の住民が”長屋暮らし”をされています。
東大阪市永和に建ち並ぶ平屋の6軒長屋
第一期工事
2017年、6軒のうち3軒が空室となっていた状態で始まったリノベーション計画。古くから借家として住まわれている長屋ということもあり、内部の状態はさまざま。劣化が著しかったり、増築されていたり、リフォームされていたりと三者三様の状態でした。それぞれの状態に合わせて、どこまで解体して、どこまで残すのか。工事予算を圧縮するため、間取り変更は最小限に留めつつも、3戸それぞれに広い土間空間を確保したり、新旧を際立たせたり、小屋裏を露出させた傾斜天井の部屋を作ったり、異なったコンセプトを持たせた訴求力のある賃貸商品を計画しました。
屋裏を露出させた傾斜天井の部屋。長屋とは思えない程の天井高を有した空間
既存壁の状態が悪かったため、左官で仕上げた壁
専用庭にあった浴室は撤去し、洗濯機置き場に
縁側にはシンクを設置
2人暮らしを想定して、収納は十分に確保した。
ターゲットを具体的に想定して住設備を選定。造作カウンターは家電を置くスペースもしくはワークスペースとしても使うことができる。
既存の趣をできるだけ残した住戸
床は無垢フローリングの中でも比較的耐久性の優れたナラ材を採用。
綿壁の汚れが目立つ部分には茶室のように和紙を貼り、汚れを隠すとともに内装のアクセントとした。
縁側の床は再利用。洗面台やトイレ、浴室は前回の対象住戸で使用した定番の機器を選定している。
造作キッチンを採用。他住戸よりもダイニングが狭いため、入居者の使い方によってカスタマイズできる仕様とした。
キッチンの一角に室内洗濯機置き場を設置。壁を壊す部分を最小限に留め、水栓や金物を設置した。
長屋の入居者層の変化
マンション暮らしではできない、庭や縁側・土間のある住まいが再評価されつつある長屋暮らし。今まで入れ替わりもありましたが20-30代のカップルや一人暮らしの方が中心に入居されています。設備や建材を現代型にアップデートした結果、外からも新しい入居者層を呼び込み、少し活性化された長屋周辺。都心部では希薄になりがちな長屋暮らしだからこそのコミュニティも生まれています。
植栽が特徴的な外観
夜は門灯が自動点灯するようになっている。
OUTLINE
STAFF
コンサルティング / 小野達哉、山田輝
設計監理 / 塩谷昌洋、川井茜理
リーシング / 土中萌、山田輝
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