きっかけはリノベーションをして暮らしている友人の住まいを見たこと。好きなものをひとつひとつ選んでいけることに強く惹かれ、リノベーション前提での物件探しを始めました。購入したのは京都と大阪のちょうど真ん中くらいの、のどかな地域にあるマンションの一室。決め手となったのはその、眺望と広さでした。
「ちょっと『変』なものが好き!」と初回の打合せで宣言してくれたSさん。(※『変』は、Sさんの褒め言葉です。)
憧れの大きなW.I.C、Rの開口にR壁、クラシックリブパネル、リノリウムシート、チークのヘリンボーンフローリング、イエローのガラスブロック、黄色の目地をあわせたターコイズ色の釉薬タイルなど⋯ユニークな仕上げが満載!盛りだくさんの要望をまとめ上げたアーキテクトと、ますます個性的に住みこなすSさん夫婦のパワーが合わさった、魅力あふれる住まいになりました。
物件購入の決め手となった、ワイドバルコニーと窓からの眺望。リビングから外の景色を楽しみながらゆっくり映画を見たり大好きなおやつを食べたりお酒を飲んだりしながら過ごすのが、2人のお気に入りの過ごし方だそう。
リビングの一角には大きなW.I.C。施工事例でみて気に入っていたクラシックリブパネルで仕上げた。
床材はグレーのリノリウムシートに。要所要所で取り入れた木の素材感と相性抜群!
開放感のある大きなリビング。キッチンは対面にかな、となんとなく考えていましたが、リビングダイニングとキッチンの間の壁が撤去できないことが判明。必然的に独立キッチンにすることになったけれど、リビングダイニングから丸見えにならず、回遊もできて、ちょうどよいところにアールの開口も設置できて⋯と、大満足の結果になりました!
アパレルの仕事をしている2人のこだわりが詰まった、ショップのようなW.I.C。
「服を楽しく選ぶことができたら毎日楽しいだろうと思いデザインしました。(Sさん)」
シンプルな造作キッチンには、「少し遊び心がほしい!」と、ターコイズブルーのタイルに黄色い目地を合わせた。
キッチンと横並びの洗面台は2人で並んでも狭くならないように大きめサイズ。
脱衣所のクロスは輸入壁紙専門店「WALPA」で購入したもの。個性の強い柄をかっこよく合わせてしまう上級者なSさん!
洗面台を移設したことで広くなった脱衣所は衣類のお手入れスペースと活用。
トイレの主役は、打合せ時から探し続けていた『変』な照明。なんと本物の溶岩でできているそう!壁には、クレイを表現した質感のあるWALPAのクロスを採用。
レトロなイエローのガラスブロックを寝室への扉の横に積み上げた。
寝室の天井はラワン合板。壁面に設置したパシフィックファニチャーのブラケット照明がアクセント。
「どこかで使いたかった!」というヘリンボーンのフローリングは、廊下〜リビングの出入り口に。
Rの開口で空間がつながっていく様子が楽しい。
洋室は淡いピンクのクロスを、リノリウムに合わせた。
入居者の声
住み始めて半年経っても、『本当にいい家だよね』と自画自賛しています(笑)居心地が良いので、圧倒的に家でくつろぐ時間が多くなりました。打合せの間は自分の好きなものを形にしていくことが楽しかったです。“お二人にはこれが良さそう!”とパーソナルな提案をしてくださりそのセンスも良く、私たちの好みを理解してくれているので提案してもらえることが毎回楽しかったです。まだまだ家具を買い替えたり増やしていき、観葉植物や間接照明を入れてより住み心地の良い家にしていきたいです。リノベーションを考えている方は、想像力を膨らませてスイッチやコンセントなどここにないと困る生活動線をこれでもかというほどシュミレーションすることをおすすめします!(Sさん)
OUTLINE
物件名/S邸
所在地/三島郡島本町
構 造/RC・SRC造
築年月/1983年
竣工月/2024年8月
施工面積/88.64㎡
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*A&Cで物件探し
*工事費:1230万円(税抜)
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写真:衣笠名津美
担当者より
「ミッドセンチュリー×メキシカン」楽しかったです。設計打合せの中盤辺り(プランが決まりつつ建材の選定に入りだした頃)に発せられた「メキシコ」。タイル選定の際、ピンクやターコイズカラーが候補に上り、イエローの目地とイエローのガラスブロックと、出てくる出てくるメキシコ的色味。私の頭の中ではサボテンの置物が踊りだし、「このまま進みますか?」と、一旦方向性を確認した後、更に広がっていくSさんのトーン。最終的には「原色ヨロシクメキシカン!」もありつつ、全体的に落ち着いたバランスのよいトーンで着地しました。一方で「ミッドセンチュリー」を実現すべく、装飾としての直線デザインや装飾を最小限にした曲線のデザインを実施。この二つの融合が本当に楽しかったです。こうやってアメリカ発祥のミッドセンチュリーデザインが海を越えて各地で広がって行ったんやー、そこに立ち会ったんやーなど壮大な妄想にふけっておりました。(一森)
STAFF
アーキテクト|一森典子
コンサルタント|中村美保
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