WORKS

こだわり尽くした没個性

2年前まで東京で暮らしていたTさんご夫婦。都心部の分譲賃貸や、海岸沿いのデザイナーズマンションなど、色んな場所や物件での暮らしを楽しんでいたとのこと。こどもが産まれたことをきっかけに妻のご実家がある大阪に戻り、物件購入を決意しました。広告やデザインのお仕事をされているお二人。「〇〇風とカテゴライズされる家にはしたくない」「手持ちの家具やグリーンが映え、季節やその時の気分に応じて、模様替えしても馴染む空間がいい」「質感を大切にしたい」と、たくさんのこだわりを住まいにも反映させて、丁寧に形にしていきました。

「フローリングは空間の印象が決まりすぎる」と、床材はグレーのリノリウムを採用。全体はグレーや白で整え、天井の躯体あらわしや露出配管などで、粗さを混ぜ込んだ。

長く愛用している幅2.5mのGALLUP特注テーブル。この大きなテーブルありきでプランニングが始まった。

LDKは広さを確保。「昼間はこどもが遊び回っていますが、夜は照明を落として時々キッチンのカウンターを挟んで夫婦で立ち飲みをします。こどもがまだ小さいので、寝ている様子をすぐに見られる距離なのもいいですね(Tさん)」

可能な限り大きくしたワイド2700のビッグサイズキッチン。パントリーに洗濯機を移設するプランは、初回提案時にはなかったアイデア。打ち合わせ時に「ちなみにこんなアイデアも考えていました」と要望にはなかったプランを見せると「あ、それしたかったんです!」とすぐに採用が決定。料理と洗濯が好きなTさんらしい配置になった。

当初はシステムキッチンを探すが気に入るデザインがない・・・と造作キッチンへ方針転換。天板を薄くしたい、シンクはお掃除しやすくしたいがシャープさは損ねたくない、使いやすくて豊富な収納が欲しいなど、細部まで徹底的にこだわった。

キッチン背面カウンターのパイン材の質感は、持っている家具と相性がGOOD!BOSCHの食洗機もお気に入り。

モルタル・リノリウム・Pタイルと素材の異なるグレー3色。「この絶妙なニュアンスはとても悩みました。設計上必要になった段差ですが、この段差があることでキッチンからリビング全体を見渡せるのもいいですね。こどもが座るのにちょうどいい高さみたいで、よくここで休憩してます(笑)。(Tさん)」

 

天井の躯体配管は主張し過ぎないよう白塗装に。鉄管には植物をハンギング。植物のボリュームはまだ3割程度、これからもっとモリモリにする予定とのこと。

リビングの一部はお手持ちの家具がぴったり納まるように設計。再利用した既存の扉とも見事な相性。

造作洗面台はモルタル仕上げ。全体のスイッチはパナソニックのSoStyleを採用したが、洗面のみtoolboxのメタルスイッチプレートに。

洗面室は広く使いつつ、脱衣スペースはカーテンで仕切れるように。

こどもの自転車やアウトドアグッズ、スーツケースなど外で使う物を置くスペースとして土間を広く確保。植物のメンテナンスを土間でしたい!汚れた手はすぐに洗いたい!そんな要望も叶えられるよう、洗面から土間への動線を繋げた。帰宅→手洗いへの生活動線の利便性も土間が兼ね備えている。

今はワークスペース兼収納として利用している部屋も、将来はこども部屋になる予定。そのため、収納スペースの仕切りは、天井からのカーテンにし、レイアウト変更にも柔軟に対応できるようにした。

共用廊下から続く赤のタイルは既存再利用。いい感じになるか、と最後まで半信半疑だったが、担当者の推しを信じて。完成した状態を見て「そういうことか!」と納得。

玄関にはflameの照明を配置してただいまと共にお出迎え。帰ってきてものが置けるスペースが欲しい、靴を脱ぎ履きするときにちょっと腰掛けたい、とベンチも製作。

入居者の声

暮らし始めてすぐ「違和感が全くない」と気づき、驚きました。賃貸でいろんな場所に住んで感じていた「こうだったらいいのに…」を詰め込んだからだとも言えますが、ストレスのない住まいにびっくりです。打ち合わせでは、すべての要望を丁寧に聞いていただき、しっかりとプランに反映してもらいました。もちろん予算もあるのですが、その辺りの管理も丸っとお任せできました。お金も設備も、いろいろと制約のある中で、A&Cさんと試行錯誤できたのも良い経験になりました。住まいづくりは疲れるけど、私たちにとって「大変さ」=「楽しさ」でした。住まいは1度じゃ完成しないなんてよく聞きますが、私たちはやりきりました。(Tさん)

OUTLINE

物件名/T邸
所在地/大阪市天王寺区
構 造/SRC造
築年月/1982年
竣工月/2023年9月
施工面積/78.34㎡

*工事費:非公開


写真:衣笠名津美

担当者より

暮らしへの要望は妻発信、そのディレクションが夫。様々な選択の中で役割分担がきっちり分かれているお二人は、デザインに対してどちらも真剣真っ向勝負。一緒に考え尽くさせていただきました。つくりこみはしない、その時の気分で変化していけるよう基本はシンプルな箱を整えたい。お二人の思う「良いベース」とは?・・シンプルといえど深堀すれば深い深い。
細かすぎるところまで話す毎度4時間越えの根詰め打ち合わせの後は全員フラフラでしたが(笑)お二人のデザインへの思考はいつも同じ方向を向いていて、方向が合致した瞬間は嬉しかったです。「大変さ」=「楽しさ」とはまさにその通り!その時々の気持ちにしっくり変化していくT邸の暮らしをこれからも楽しみにしています。(西面)

STAFF

アーキテクト:西面莉沙

コンサルタント:中村美保

リノベーションのご相談や
資料請求は無料で受け付けています

リノベーション・物件購入の疑問や要望、資金計画など何でもお気軽にご相談ください。

 リノベーションの相談をする > 

施工事例が詰まった事例集や最新のイベント情報を掲載したチラシなど、役立つ資料をお送りいたします。

  資料請求をする(無料)  > 

その他の事例