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地域の心の拠り所 地蔵祠のリノベーション

地域の心の拠り所 地蔵祠のリノベーション

大阪市中心部のビルの傍らに佇むお地蔵さん。長年地域の人々の気持ちに寄り添い、親しまれてきました。
祠の老朽化をきっかけに、水道や電気を整えて維持管理の利便性を向上したい、防犯面の不安を解消したい、毎年行われる地蔵盆での使い方を見直したい、けれども親しみやすさは残したい…など、地域で話合うこと数年。
みなさんの思いを残しながら、祠をリノベーションをすることになりました。もとの佇まいを踏襲し、生まれ変わった祠に戻ってきたお地蔵さんには、今日も人々が手を合わせています。

Outline

  • 物件名/石ケ辻東延命地蔵祠改修計画
  • 所在地/大阪市天王寺区
  • 構 造/木造(一部CB造)
  • 建築年/不詳
  • 竣工年/2025年
  • 施工面積/5.36㎡
  • 写真:坂下丈太郎

ビルの傍らに佇む小さな祠。石ヶ辻の町名は、江戸時代、この地に石の地蔵が祀られた辻があったことに由来する。

下地、仕上げ含めて全て耐久性に優れた桧上小節の無垢材を採用。暖かくどこか神聖な雰囲気。

従前は水道がなく、離れたところから水を運んでいた。今回の工事に合わせて水栓を新設。

花差しは後方に水抜きができる仕様に変更し、メンテナンス性を向上。

コンクリートブロックで立ち上げ、玉砂利洗い出し仕上げで仕上げた土台部分。賽銭箱は既存のものを加工・移設した。

支柱の根本は錆に強く経年変化で青く発色する銅板を採用。

下部の飾りはタイルを埋め込んでオリジナルで制作。

従前からの地蔵尊の提灯。

元々街路灯があったが、暗く、防犯面で不安があったため、LEDスポットライトを設置。

 

Staff

  • アーキテクト:鍋野良太
  • コンサルタント:鍋野良太

入居者の声

古くから町を見守る地蔵。その地蔵を支えてきた町の人々は地蔵講と呼ばれ、日々の清掃や供花の手入れ、賽銭の管理、地蔵盆の催行などを担ってきました。この地域では町ごとに祀られるほど、地蔵は暮らしに根ざした身近な信仰として息づいています。
しかし近年、共働き家庭の増加や担い手の高齢化などにより、その継続が難しくなりつつあります。猛暑の中で水を運ぶことも高齢者には負担でした。そうした地域の現実を背景に、小さな地蔵堂の改修を通じて、町の信仰と日々の営みを支え直す必要がありました。
地蔵堂の灯りは心を照らすだけでなく、現実的にも街灯の少ない裏通りの安全を守る役割を果たしてきました。そこで、機能性を高めながらも、親しまれてきた従来の佇まいを大きく変えないことをお願いしました。建設業界の再編の中で町から工務店が姿を消しつつあるなか、A&Cさんは大工や左官の手仕事によって、その要望を見事に形にしてくださいました。地蔵堂の再生は、単なる修繕にとどまらず、人の営みを次代へ手渡すための更新でもあります。
地蔵が町を見守り、その地蔵をまた人が見守る。その関係を絶やさぬために施された小さなリノベーション工事は、地域の記憶と関係性を未来へつなぐ大きな役割を担っています。

担当者より

当初、お地蔵さんのリノベーションという大役を前に、自分に務まるだろうかと身の引き締まる思いでした。工事を進める中で、多くの地域の皆さまからお声がけをいただき、このお地蔵さんが地域の心の拠り所として大切にされてきたことを実感しました。職人と力を合わせ、その思いに応えられるよう取り組みました。人生で二度と巡り合えないかもしれない貴重な仕事に携わる機会をいただいたことに、心より感謝しています。(鍋野)

コンサルタント/アーキテクト:鍋野良太

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