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リノベーションで、人手・人材不足を打破|大竜化成株式会社
リノベーションで、人手・人材不足を打破|大竜化成株式会社
大阪府東部には、多様な業種の町工場が集積し、幅広いものづくりが行われています。たとえば東大阪市には5,500以上の工場があり、製造業の事業所数は全国トップクラスです。長年にわたり専門的な技術で安定した経営を続ける中小企業も多く存在します。事業開始から数十年を経た今、老朽化した社屋や工場の修繕は経営者にとって喫緊の課題となっています。特に工場建築は、経済性を優先して簡易的に建設されたものが多く、修繕も場当たり的に行われがちです。その結果、従業員の職場への愛着や関心が薄れ、採用時にも「古くて暗い職場」というネガティブな印象を与えてしまうケースも少なくありません。一方で、経営者にとって修繕は「不具合を直すこと」が目的であり、「働く場の魅力を高める」という観点は希薄なのが現状です。
大東市に本社を構える発泡スチロールメーカー、大竜化成株式会社も例外ではなく建物の老朽化と採用難に課題を抱えていました。そこで、「経営者・従業員共にご機嫌で居心地のよい工場へ」「愛着や関心を育み、家族や友人に自慢できる工場へ」「新入社員が夢や希望を抱き入社したくなる工場へ」この3つを目標に掲げ、本プロジェクトをスタートしました。
働く場所は会社の核です。歴史が長く、安定した売上を持つ会社でも人手・人材不足に悩む時代です。従業員が誇りを持ち、「ここで働きたい」と感じられる職場づくりこそ、これからの中小企業に求められています。工場や社屋が変われば、働く人が変わり、そこに集まる人が変わります。今回の大竜化成の工場リノベーションは、これからの時代に求められる工場のあり方を示すモデルケースとなりました。
リノベーション前の大竜化成株式会社の外観。製造業では長期間の操業停止が難しいため、工場を稼働させながらのリノベーションが必須条件でした。そこで工程を4期に分け、営業を続けるエリアと改修エリアを順番に切り替えながら工事を実施しました。
リノベーション前の暗く、雑多な工場内。発泡スチロール工場という性質上、火花の飛散リスクのある工程(溶接)はできないために改修方法の工夫をしながら工事を進めていきました。
従前、加工原材料として白い発泡スチロールが多数存在した工場内の原風景に着想を得て、ホワイトキューブ(事務所・食堂棟)を巨大な発泡スチロールのように見立てデザイン。
明るく快適な食堂棟の内部。
企業アイデンティを表現する場として、味気の無かったエントランス空間を刷新。廃棄予定の発泡スチロール製品をポイント壁のマテリアルとして採用。
旧階段解体は火花の飛散リスクを考慮して存置。改修方法として、カバー工法を採用。急勾配での不便を解消し、勾配の変化を可視化。
近年の猛暑の影響で、夏場の工場内の環境は過酷になっていました。屋根に遮熱塗料の塗布し、表面温度を約15度、室温を約5度低減しています。
従前は非断熱であった居室を新規の事務所・食堂棟は、断熱性能(UA値0.85w/㎡K以上)を確保しました。
耐震性能に不安があったため長期荷重の構造安全検証を実施し、補強柱を10本新設しました。
従業員自らが選定した家具や自社で設計、加工、設置した床置型のロゴオブジェ。家具や備品、各室のサインなどは従業員自らが選定。食堂等前の休憩スペースには発泡スチロール製の「DAIRYU」の床置型ロゴを設計、加工、設置するなど、これまで無関心だった工場に自発的に彩りを加える行動が誘発されました。また、SNSでの自社の発信なども積極的に始まり従業員の愛着や主体性が育まれつつあります。
新しくなった事務所で業務をする従業員
工場内の作業環境は大きく改善しました。
アーキテクト:枇杷健一
