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ガレージを内包する賃貸住宅|旧弥生荘
ガレージを内包する賃貸住宅|旧弥生荘
高度経済成長期に建てられた文化住宅が今もなお多く残る東大阪市。風情を感じることのできる光景ではありますが、建築当時から50-60年が経過し、老朽化による危険性や、入居希望者の減少、高齢化などが問題としてささやかれることもしばしば。「旧弥生荘」も同じく、4畳半便所共用、風呂無し20戸の木造アパートで、入居者は既におらず空室となっていました。解体してマンションを新築する計画もあったそうですが、オーナーはリノベーションという選択をしました。
今回の計画にあたり、オーナーの要望は”この建物の風景を残すこと”と”新たな層の住民を呼び込むこと”。その2点を手掛かりに計画を進めていきました。
内部解体工事後
高度経済成長期に建てられた木造アパート。構造や実用面で不安な点が多くあったため、今回のリノベーションで修繕・補強する必要性があった。また時代の移り変わりによって現在のニーズには適さなくなった間取りや設備についても検討が必要。そこで今回は一度内部解体工事を先行した後に実施設計を行い、20戸の共同住宅から3戸の長屋へと再構成した。
新旧が対比された外観
文化住宅の趣が残る
2層吹き抜けで天井高のあるガレージ
コンセプトは「ガレージを内包した住まい」 バイクや自転車が趣味で屋内で保管・メンテナンスを行いたい方、自宅をアトリエと兼ねて職住近接な暮らしをする方に向けた賃貸住宅。外壁や躯体など既存の状態を肯定し、従前の建物の記憶を引き継ぎつつも大胆にイメージを刷新した。
文化住宅の名残を感じる2階部分
構造用合板仕上げの壁面
木造長屋なので寒さや暑さの影響を受けやすくなっているが、1階に挿入された白いハコは断熱材・インナーサッシが施され、厳しい季節の避難場所として機能する。
既存サッシの内側にインサーサッシを設置
設備はガレージを内包した住まいのイメージに合わせて業務用キッチンや、ユニットバス、磁器タイルの洗面を設置。


バイクに作品制作や収集など多趣味な入居者さん。土間にはバイクを持ち込み、1階を居住スペース、2階のフリースペースは趣味の制作や保管の場所として利用されています。「バイクを身近に置いておけること、趣味の制作や保管をするスペースを確保できることを重要視して、物件を探していました。内覧の際には、特に引っ越しの予定があるわけではなかったのですが、意外と住めそうだと感じたので入居を決めました。今のところ快適に過ごしているのですが、真夏はどうなるか正直少し不安です。完成はまだまだ。これからも少しずつ住まいをリファインしていきたいと思っています。」余白を生かしたバイクや趣味を内包する住まい。暮らしを想像するだけでワクワクしてしまいます。
アーキテクト:枇杷健一
