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綾壁のオフィス|中山文甫会館
綾壁のオフィス|中山文甫会館
梅田から一駅離れた中崎町。先の大戦では奇跡的に大きな被害から逃れたことで、戦前からの木造家屋が今も多く建ち並んでいます。こちらの建物は1987年に華道の会館として建築されました。築後30年を経過し使い方も変化してきたため、クライアントは建替えも含めて検討されていましたが、リノベーションで建物を使い続ける可能性もあるのではとアートアンドクラフトへご相談をいただきました。
Before
After
既存の建物の状況や周辺環境、華道会館としての必要機能を勘案し、地下1階と1階に華道会館の機能を集約し、2階から4階を貸事務所として計画することとした。水回りの位置やEVなどの建物条件から中廊下型とし、コストとマーケットの観点から区画割りを検討した。
暗くなりがちな中廊下は、貸室を通じて外部からの光を透過させ、公と私の境界が曖昧な中崎町の路地の風景からデザインを検討した。素材は適度な透過性とプライバシー性を検討しポリカーボネートを選定。集成材のフレームに傾けたポリカーボネートを交互に積み重ねることで、「貸室」と「廊下」が綾模様のように織りなし、相互に関係し合うような空間を目指した。フレームは棚としても機能するように設計。
廊下側より
貸室側より
架構に従って区画を割ることを基本とし、貸室は約15㎡から35㎡まででバリエーションをもたせた。既設の造作家具や床材の撤去は必要最小限に留める設計を試みた。
造作壁面収納を存置した貸室(3階)
設備に係るコストを抑えるため、水回りの位置は大きな変更を行わずに計画。また、外部開口が小さく採光が厳しいスペースは共用のミーティングスペースとして計画した。
便器は既存のまま(3階)
4階は従前から大きな変更は行わずに平面計画をし、建築的には内装材の更新を主とし、設備的には貸室として機能させるための電気系統を整えました。
共用のミーティングスペース(4階)
床仕上材の撤去とクロスの張替えを行った貸室(4階)
一部既存の和室を残した貸室(4階)
あと少しで竣工というところでコロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発出されました。フリーランスや数人で事業をされているクリエイティブ層が求めるオフィスが足りていないのは大阪R不動産を通じてずっと実感値として持っていたため、今回もそのニーズに応えられるような物件を目指し計画を進めましたが、私たちの想像を超えた世界規模のパラダイムシフトが起こってしまいました。
不安な気持ちを残したままリーシングを開始しましたが、当初のターゲットに加え、リモートワークの普及による事務所縮小のニーズや、フリーランスの方で自宅と仕事場を切り分けるニーズなど、コロナ禍によって明るみとなった需要にも上手く応えることができ、想像していたよりも順調にリーシングは進んでいます。(西川)
コンサルタント:西川純司
