Works
モダニズム再興|新桜川ビル
モダニズム再興|新桜川ビル
併存住宅(※)として建てられてから50余年。周辺環境は激変し、場当たり的な修繕や自由なテナント工事で、往時のモダニズム建築の”美”は身を潜め、空室が目立つようになっていました。桜川駅が目の前の立地、容積率的にもまだ余裕があるということで、当初は建替えも検討していたビルオーナー。だけどこの個性的なビルを壊してしまうのはどうにももったいない。弱点にもなり得る不整形な貸室ですが、逆にそれを面白いと思うユーザーがいるはず!さらに、建物はしっかりメンテナンスをすればまだまだ頑張れそうな状態。こうして新桜川ビルは再生の道を辿ることとなりました。
※ 併存住宅 … 下層階に事務所・店舗を、上層階に賃貸住居を設けた都市住宅の形式。
【BEFORE】1958年築。それまで多かった木造の低層家屋に代わる、新しい都市住宅の形が模索されていたこの時代。国は住宅金融公庫を通じ、土地所有者に対し中高層建築物融資という融資制度を推進し、全国の都市部で賃貸住宅経営の手本となる優良住宅の建設を後押ししました。 それが「併存住宅」で、新桜川ビルはそんな建物です。特徴的な扇状の外観に加え、既製品がまだ少なかった時代にオリジナルでデザインされた多くの建具や金物、照明器具からもビルの希少性が感じられました。
外壁塗装、屋上防水、電気・ガス・給排水管の更新を行い、まずは建築物としてのインフラを整備。
屋上は入居者の共同物干し場。この場所からの阪神高速の眺めは圧巻。
エントランスの銘板はオリジナルのものを再利用。
2階テナント区画はスケルトンにして賃借人募集を行いました。
【2階共用部】サッシの塗装、床ビニルタイルの貼替えを行いました。 タイル部分は塗料に墨を混ぜて極力従前の色に近づけました。
【2階共用部】建具の取手もオリジナルのものを磨いて再利用。
【2階共用部】男女共用だった便所は男女別にして新設。テナントビルにおいて水廻りの清潔感は重要なポイント。
【201号室】子どもの写真スタジオが入居。周辺の若いファミリーが訪れる場所に。
【202号室】クリエイター育成と支援をしていく学校。様々なクリエイターが訪れる場所に。
【203号室】ショットバー。夜の新桜川ビルに馴染む独特の雰囲気です。
【204号室】小さな食堂のようなレストラン。毎日長蛇の列ができる人気のお店に。
【205号室】金魚屋が入居。スケルトンの雰囲気を活かして使用しています。
【206号室】足指専門のリフレクソロジーサロン。高い天井高のおかげで開放感のある空間に。
【110号室】花と香りのショップ。女性オーナーおふたりで運営しています。
【109号室】陶器、磁器、ガラス、漆器を扱うギャラリー。110号室と並んで新桜川ビルの新たな顔に。
【101号室】コーヒースタンドは近所の方や新桜川ビル入居者の憩いの場になっています。
住居区画【BEFORE】阪神高速と千日前通の騒音や、現代のライフスタイルに合っていない間取り等が原因で、長期間空室のままの部屋も。
【BEFORE】リノベーション時は建物の強度を下げる恐れがある工事はせず、既存の垂壁なども活かした意匠設計の方針をとりました。
【AFTER】騒音を逆手に取り”多少の音出しはOK”、クリエイター向けのアトリエ兼住居としてリノベーション。 隣戸と接する部分には防音性能を持つ壁を設けました。
【AFTER】水漏れ等のトラブルが続いていたため水廻り設備は一新。配管経路を短くすべく共用廊下側にコンパクトにまとめました。
アーキテクト:枇杷健一
