Works
沖縄のコンクリート建物もここまで再生できる SPICE MOTEL OKINAWA
沖縄のコンクリート建物もここまで再生できる SPICE MOTEL OKINAWA
沖縄には独特の建築文化があります。風土を意識した建物や、アメリカ文化に影響を受けた建物。その多くはコンクリート造であることが特徴ですが、1975年頃をピークに十分に除塩されないままの海砂が生コン用の資材として使われていた事実があり、そのためか「鉄筋コンクリートも大して長持ちしない」と思い込んでいる人も多いのが実情。本土とは違ったあたらしいリノベーションに出会いたい。既存建物のリノベーションを仕事とする会社として、沖縄のコンクリート建物を放っておけない。そんな思いから本土復帰前の1970年建築の古びたホテルを全面的な改修に挑みました。相当傷んだ状態でも、適切な手入れを施せばここまで再生できる、この事例を通して沖縄の不動産オーナーの意識を少しでもリノベーションに向けることができたらと願っています。
【BEFORE】アメリカ統治時代の1970年建築のモーテルは、2013年まで40年以上営業されていました。しかし晩年は雨漏りの影響などで傷んで使えない部屋も多く、実際に稼働している客室はわずかでした。ご縁があり前オーナーからアートアンドクラフトが経営を引き継ぐことになり、本モーテルの再生計画は始まりました。リノベーションにおいてコストバランスはとても大切です。建物のシェルター機能を全うに使えるように修復する「躯体補修」費用。設備配管の取り換えなど電気や給排水の「インフラ補修」費用。それらは必須であるため削ることはできません。またホテルとして最低限必要な「家具インテリア代」、植栽や屋外サインなど「ランドスケープデザインの費用」を確保すると、事業収支上リノベーションの造作にかけられる費用は十分には残っていませんでした。でもそこからがプロとしての腕の見せどころであり、これまでのホテルの常識を見直し、割り切るところは割り切るなどして、他にはないデザインのホテルができあがりました。
【カフェ】 従前は物置と化していた離れ。コンクリートが爆裂し雨漏りもひどかった。沖縄らしい花ブロックや石貼りの壁、テーマカラーのブルーグレーをアクセントに使い、米国モーテルにおいて象徴的なパームツリーをあらたに植樹しました。
かつては屋上にあった「自動車ホテル」のネオン看板を移設。意匠として再利用。
【2階廊下】植栽計画と、躯体壁(廊下左側)を部分的に解体することで風と自然光を取り込み、外廊下のような雰囲気に。
【2階テラス】コンクリートの傷みを点検&補修したのち、防水と外壁塗装をすべてやり直しました。また外壁の一部を解体し、以前は使えなかった駐車場の屋根を開放感あるテラスにしました。螺旋階段と鉄柵は新たに設置したもの。
客室の区画割りは以前と変えておらず1階は全室ガレージに車を停めてそのまま客室に入るスタイル。
【1階客室】ツインルーム。既存の壁床天井は全て解体撤去。躯体をあらわし、塗装を施したシンプルな空間にインテリアや照明計画でスタイリング。
【2階客室】ダブルルームは板張りの壁など70年代のカリフォルニアをイメージした内装に。
【バスルーム】既存の浴槽を撤去し炭入りモルタルで仕上げた。四角い洗面器は既存再利用。
客室の部屋番号は地元沖縄のウォールアーティストに描いてもらったもの。
【カフェ】壁に飾られた「自動車」は屋上看板の残り。ネオン管からやり直した。
アーキテクト:中谷ノボル
