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床段差ができる理由と、段差をデザインに取り込むアイデア集
目次
リノベーションで段差ができる理由は、大きく以下の3つです。
水回りの設備の位置をもとあった場所から動かすと、それに合わせて給水管、給湯管、排水管も動かす必要があります。給水や給湯は水圧をかけて水や湯を送っているので、天井裏を通すこともできますが、排水管は、一定の勾配をとりながら水を流す必要があります。そのため、壁の中を通すか、アイランドキッチンを作りたいときや、配管が廊下をまたぐ場合などは床下を通すことになります。木造戸建てなど、床下に十分な空間がある場合はそこで排水勾配を確保することができますが、マンションの場合、スラブの上で排水経路を確保する必要があります。結果、配管のスペースを確保するのに段差が必要になってくるのです。
築20年を超えるくらいのマンションだと、水回りだけ床の高さが上がっていることがよくあります。これも、同様の理由からです。一方、最近のマンションだとあらかじめ、二重床になっていて、スラブと床仕上げの間に空間がある場合もあります。ただし、関東でよく採用される構造で、実は関西ではそれほど二重床になっているマンションは多くありません。関西では、段差スラブと言って、あらかじめ水回り部分のスラブが一段下がっているものが一般的ですが、既存の水回りの範囲内で水回り設備を移動するときは床下のスペースは有効ですが、そこから設備の位置を動かしてしまうと、やっぱり段差が必要になることが多くあります。

フローリング、カーペット、タイル、ビニルタイルなど・・それぞれ厚みが違います。そのため、それぞれの素材の切り替え部分は小さな段差ができるのは当然です。厚みが違うものを並べる際に、段差を作りたくないときは薄い方の仕上げの下に適切な厚みの合板を捨て貼りすることもあります。例えば、フローリングは一般的に15mm、ビニルタイルは3mm程度なので、並べて使う際には、ビニルタイルの下に12mmの合板を捨て貼りして高さを合わせます。ただし、その分の材料費と大工手間がかかるので、素材の違うものの高さを全て揃えようと考えると、コストアップは覚悟する必要があります。
マンションの場合、管理規約で「フローリングを施工する際はLL45以上の性能のものとすること」等、規定があることがほとんどです。リノベーションでよく使う無垢フローリングにはそれ自体に遮音性能がないため、遮音性能がある床組みの上に無垢フローリングを施工します。床組みをするとそれ自体に厚みがあるので、7cmくらい、フローリング部分は床が上がることになります。

床に段差ができるのをどうしても避けたい時、シンプルな解決方法がひとつあります。それは「一番高いところに全部合わせる」ということ。ただし、天井や梁下の高さに要注意。また、上述したように、高さを合わせるためにはそれだけの材料と手間がかかるため、コストのアップは覚悟する必要があります。
また、プランの中でできるだけ段差ができないように検討することも可能です。
バリアフリーの必要性が世の中に浸透して、新築マンションでは、フルフラットが標準仕様になりました。リノベーションでも、もちろん段差がない設計のご提案が可能です。一方で、全ての住まいで段差の解消が必要だという考えには疑問を感じることもあります。
公共施設など不特定多数の人が利用する場所はできる限りバリアがなく、ユニバーサルなデザインである必要があると私たちも考えますが、住まいは特定の人が使うもの。そして、その時の生活スタイルや体の状態に合わせて手を加えていけるものです。事故の元となる「危ない段差」には気をつける必要がありますが、そうでなければ、「ここは天井の高さを優先したい」「ここはできるだけコストを抑えたい」「ここはプランを優先したい」など、柔軟に判断しながら進めましょう。
段差にもつまづきにくい場所や高さなどがあります。どうしても床段差が出てしまう場合、少し気をつけたいのは以下のようなケースです。
どうせ段差ができるなら、いっそ楽しんでしまうのもひとつです。フローリングを使うところは高さをぐっと上げて階段をつくってしまったり、キッチンはステージのように一段上げて部屋全体を見渡せるようにしたり。プランの中に高低差を取り込んで楽しんでしまうのも面白いアイデアです。
・無垢フローリング仕上げ、キッチンの排水のためにキッチン周りの床が上がるのを利用して、あえてステージのようにしつらえた事例です。

・キッチンをステージのように。タイル張りのテラス、小上がりなど家中に段差がありとことん楽しい空間を作ったOさんの住まいです。

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