リノベーションで間取りを検討する際、リノベーションの素材物件の購入をする際、室内の空調についてどこにエアコンを設置する予定かも忘れずに確認しましょう。工事をする建物のつくりや間取りによっては、室内にエアコンを設置できる部屋が限られることもあります。エアコンが設置できないことで、事前に考えていた使い方ができないことも。確認するポイントや注意点をまとめました。
目次
エアコンは設置できる?まず確認すること
家庭用で一般的な壁掛けエアコンは室外機と室内機、冷媒管とドレンホースで1セットになっています。エアコンが設置できるかどうかは、以下のようなことを確認する必要があります。
室外機置き場の設置場所がある?
最近のマンションだと共用廊下にあらかじめ室外機置き場が準備してありますが、築30年を超えるようなマンションだと、エアコンの設置が想定されておらず、廊下側の部屋には室外機を置くスペースがないことがよくあります。戸建て住宅でも、建物が敷地のギリギリまで建っている場合は室外機を置くスペースが限られることがあるので確認が必要です。1台の室外機で複数台の室内機を設置できるマルチエアコンもありますが、性能が劣る場合があるのでよく調べてから選択しましょう。
室内機と室外機置き場の間の外壁に配管を通す穴がある?
エアコンの室内機と室外機の間では冷媒ガスが行き来して熱を移動させています。そのため、冷媒管を通す穴が外壁にあることが必要となります。戸建ての場合は比較的簡単に必要なところに穴を開けることができますが、マンションの場合は共用部であるコンクリートの壁に穴を開けることは基本的にはできません。(管理組合の許可を得られた場合を除く)あらかじめエアコン配管のために準備された穴か、吸気口などを通すことができるか確認が必要です。また、機種によって異なりますが、冷媒管の長さの限度が決められています。一般的な家庭用の壁掛けエアコンだと10m程度が目安です。
ドレンホースの勾配は確保できる?
ドレンホースとはエアコンが空気を冷やす際に出る結露水を排出するための管のこと。中を水が流れるので、1/100以上の勾配を確保しなければいけません。室内機と室外機が外壁を挟んですぐ近くに設置できる場合は勾配を取るのはそれほど難しくありませんが、室内機と室外機を離して設置する場合には、排水経路をあらかじめ検討する必要があります。勾配が足りない場合は、ドレンアップキットを室内機の近くに設置して、排水のスタート位置を高くすることも可能です。
エアコンの設置が難しそう?!そんな時は・・
もちろん、絶対に全ての部屋にエアコンが必要なわけではありません。そもそも不要という方もいらっしゃいますし、部屋の用途によっては重要度が下がることも。また、工夫次第で設置ができるようになることもあります。
間取りで工夫する
マンションの共用廊下側の部屋にエアコン設置ができない場合など、無理に配管を伸ばしてエアコンを設置するのではなく、その箇所は収納や土間にする方法もあります。また、開閉できる室内窓を設置して空気の流れを作るのも有効な方法です。
・エアコンの設置できない共用廊下側の部屋を収納にした事例
・室内窓を設けて空調の風の通り道を作った事例
冷媒管とドレンホースは一緒でなくてもOK
冷媒管とドレンホースは合わせて1本にまとめられていることが多いですが、それぞれ別の役割のものなので一緒でなくても構いません。ドレンホースは、壁の中を通して洗面や洗濯パンなどの室内の雑排水に接続することもできます。冷媒管は勾配を確保する必要はないので、外壁に管を通す穴があれば、配管する位置の自由度は上がります。戸建ての場合は屋上に室外機を置くことも可能になります。
ドレンホースにゴミが溜まると水が逆流するなど、不具合の原因になる場合があるので、ドレンホースを通しているところには掃除用の点検口をつけておきましょう。
窓ガラスに配管を通す穴を開ける
マンションで、配管を通す穴がない場合。コンクリート壁にエアコン用の穴を開けるコア抜きの許可が出ることはほとんどありません。一方で、窓ガラスであれば構造に影響を及ぼすことはないと判断されて許可が出る場合も。許可がもらえればガラスの上部をカットして配管を通すことができます。配管を通したガラスは開閉ができなくなるので、FIX窓がある場合や、頻繁に開ける必要がない窓がある場合に検討しましょう。また、窓ガラスもほとんどの場合共用部なので許可を得ないまま工事をしないように注意しましょう。
・外壁に開口が1つしかなくエアコンが1台しか設置できなかったため、管理組合の許可を得て、FIX窓の一部に開口を開けてエアコンの配管を通し、寝室への設置を可能とした事例
配管は隠蔽しない
室外機置き場から離れた部屋に室内機をつけるなど、エアコンの設置はできるけど室内機と室外機が離れてしまう場合。長い距離を配管が這うことになりますが、見た目を優先して壁の中に隠蔽してしまうことはオススメしません。エアコンの耐用年数は一般的に10年程度。取り替えの際には冷媒管やドレンホースの交換も必要です。
全に隠蔽はせず、壁を一部取り外し可能にしておく・造作家具の一部に配管スペースを作るなど、交換の際や不具合があったときに点検できるようにしておくようにしましょう。
・バルコニーから離れた寝室にエアコンの室内機を設置し、配管を取り外し可能な梁型で隠した事例
ウィンドウエアコンもひとつ
窓に設置するウインドウエアコンもひとつの案です。窓がほとんど開けられなくなる・セキュリティが心配などの声も聞きますが、必要な時期のみつけて不要な時期は外して置けるため、メリットも十分。気軽に設置が可能です。
エアコンをデザインとして楽しんでいる事例
最後にご紹介するのは、エアコンをデザインとして楽しんでしまった2つの事例です。
・バルコニーから離れた位置に作った寝室にエアコンを設置し、冷媒配管をはわせるためにケーブルラックを設置した事例。ペンダント照明の場所を調整するフック代わりにしたり、室内干し用のハンガー掛けにしたり、スピーカーを置いたり、多目的に活躍する予定。どうしても出てしまう配管を隠すのではなくあえて見せて楽しんだ事例です。
・壁掛けエアコンが好きではない、業務用エアコンを設置したい!と、業務用の天井カセット型エアコンを設置した事例。配管はラッキング(薄い金属の板で配管を巻くこと)し、黒い塗装を施しました。
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意外と設置が難しい箇所があるエアコンについて。間取りの検討段階から計画をする必要があります。リノベーションに関して、こんなことはできるかな?というご相談はお気軽にアートアンドクラフトにお問い合わせください。
大阪R不動産では、リノベーションの素材となる物件紹介もしています。
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文:松下文子 Arts &Crafts 取締役副社長