裸足で歩くと、スベスベして気持ちがいい無垢フローリング。最近の新築分譲マンションや賃貸マンションでは、施工やお手入れのしやすさ、素材の均質性が重視されてシートフローリングが一般的。最近は印刷技術が向上して、一見すると本物の木と見間違えるようなものもありますが、やはり違うのはその手触りと、時間を経て味が出る風合い。長く愛着を持って使うなら、やっぱり無垢フローリングが使いたい!?
無垢フローリングの特徴や、気をつけるポイントなどをまとめました。
フローリングの種類
無垢フローリング
無垢フローリングとは、天然の丸太から板を切り出し、継ぎ足したり重ねたりせずにフローリングの形状に加工したもの。単層フローリングとも呼ばれます。無垢フローリングは大きく分けて広葉樹系と針葉樹系があります。針葉樹系はスギ、カラマツ、ヒノキ、パインなど。柔らかくて足触りがよく、夏はサラサラとしていて心地よく、冬は暖かく感じます。広葉樹系はチーク、ナラ、オーク、ウォルナットなど。針葉樹より硬く、傷がつきにくいのが特徴です。また、木材を切り出す方向や、節の状態、色味など樹種が同じでも様々な表情が楽しめます。
複合(合板)フローリング
一枚ものの無垢フローリングに対して、薄くした木材を何層にも重ねたフローリングを複合フローリングと言います。表面に化粧材として2mm程の挽き板を貼り付けた挽き板フローリング、0.3mm程のごく薄い木を貼り付けた突板フローリング、そして、表面に木目がプリントされたシートが貼られた、シートフローリングがあります。
無垢フローリングの特徴
一枚板の無垢フローリング。ひとつひとつ木目が違い、素材感があって、肌触りが良く、生活の中で自然素材の良さを楽しむことができます。自然素材ならではの変化をしますので、それを楽しめる人は、きっと愛着を持ってお住まいいただけるはず。逆に、経年での変化が気になる人は注意が必要です。
自然素材ならではの性質を理解しよう。
・温度や湿度の変化に合わせて伸縮します。湿気がある日でもベタベタせず、室内の湿度も調整する効果があります。ある程度の伸縮を見込んで施工しますが、伸縮の影響で反りや隙間、それに伴う床なりなどが生じることがあります。程度がひどいものは手直しができますが、完璧に防ぐことは難しいため、気になる方は伸縮の少ない、複合フローリングがオススメです。
・白木のままワックスをかけて、木そのものの色を楽しむこともできますし、オイル塗料などで好きな色に塗装することも可能です。樹種と色の組み合わせによって、多様な選択肢があります。
・生活をしているともちろん、傷がついていきます。本革のカバンのように、だんだんと味が出てくる素材が好きな方は柔らかい針葉樹がおすすめ。できれば傷はあまりつけたくない方は硬めの広葉樹を選ばれると良いでしょう。
・日焼けをして色合いが変化します。樹種によって赤っぽくなるもの、色が薄くなるもの、濃くなるものなどがあります。家具を置いているところと置いていないところで色が違ってくることがありますが、またすぐに馴染むのであまり神経質になる必要はありません。
・天然木なので表面をコーティングしているシートフローリングなどに比べると水には強くありません。水が多くかかる場所にはビニル素材やタイルなど、水に強い素材の採用がおすすめです。
・複合フローリングには、木材の下にクッション材がついていてそれ単体で防音性能を担保する商品がありますが、無垢フローリングは単体では防音性能などはありません。マンションなどで管理規約で規定されている防音性能がある場合は、防音床組を組んでからの施工となります。そのため、スラブから最小でも7cmほど床が上がることになります。床高さが上がることに合わせて、防音床の材料と施工費が掛かるため、広い範囲をフローリングにしたい場合はコストに注意が必要です。
無垢フローリングのメンテナンス
日常的なお手入れは掃除機やクイックルワイパーなど、乾いたもので行い、特に汚れが気になる場合は固く絞った布で拭くと良いでしょう。年に1回程度、無垢フローリング用のワックスを塗ると長持ちします。また、10年ほど使って、傷や汚れが気になってきたときには表面を研磨すればまた新しい木が楽しめるのも無垢フローリングならではのメリットです。
無垢フローリングを使った施工事例
・服もインテリアもヴィンテージが好き!というNさん。住まいづくりのテーマは「ヴィンテージが溶け込む家」。絶対に使いたかったという無垢フローリングは、凹凸加工がされたヒッコリーを選びました。
・都心で川を見渡す、デザイナーカップルの住まい。木目の特徴的なアカシア(左)と酸化鉄で変色させたオーク(右)の2種類の無垢フローリングでリビングとワークスペースの空間を切り分けました。
・セレクト型リノベーションTOLAでリノベーションした事例。TOLAでは、杉、ナラ、アカシアの3種類の無垢フローリングが選べます。この事例では肌触りの良い杉を使って心地よい空間に仕上げました。
・ひとつひとつの素材、造作にとことんこだわったSさんの住まい。床材には幅広のオークの無垢フローリングを斜め貼りしました。 少し艶を入れた塗装を施しています。
・ヴィンテージ加工されたパイン材の無垢フローリングを採用したTさんの住まい。”ざっくり粗い感じの仕上げ”を基本としつつも上品な空間になっています。
その他にも無垢フローリングを使った事例はたくさんあります。▶︎施工事例のページはこちら
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自然素材ならではの良さと特徴がある、無垢フローリング。性質をよく理解して採用すれば、暮らしに馴染み、長く楽しめるとても心地よい素材です。無垢フローリングを使ったリノベーションをしたい!ほかにどんな素材があるかを聞いてみたい、など、ご相談はお気軽に。
大阪R不動産では、リノベーションの素材となる物件紹介もしています。
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文:松下文子 Arts &Crafts 取締役副社長