リノベーション向けマンションの探し方 – リノベーションコラム

ウツボ

マンションを買ってリノベーションして暮らしたい!

でも、多くの人が不動産探しを経験するのは初めて。「築年数の経過した建物って不安・・」「どんな物件を選べばいいの?」など不安や疑問もたくさんあるはず。今回はそんな疑問にお答えする『リノベーション向けマンションの探し方のポイント』をまとめました。

エントランスイメージ

マンションのリノベーションでできること、できないこと

マンションを買ってリノベーションする際、工事で新しくできるのは「専有部」のみです。「専有部」とは、分譲マンションなどの区分所有建物において、区分所有者が単独で所有している部分のこと。一般的には、コンクリートの壁、スラブで囲われた天井・床・間仕切り壁及びその内部空間のことを言います。外観やエントランスや共用廊下、躯体などはもちろん、玄関扉や窓、バルコニー、給排水の縦管も「共用部」となり、リノベーション工事では触ることができません。例えば、玄関扉。内側は塗装できますが、交換したり、外側の見た目を変えたりすることはできないのが一般的。また、コンクリートの壁に穴を開けたりすることはできません。室内の内装や設備はどんなにボロボロでも大丈夫!リノベーションでは変えられない「共用部」が適切に維持管理されている物件を選びましょう。

リノベーションに向いているマンションとは

 1)管理状態が良いマンションを選ぼう

 

ウツボ必ず確認したいことは、「適切な管理がなされているか」。どんなに立派に建てられて築年数が新しい建物でも、適切なメンテナンスをしないと建物は劣化していきます。区分所有建物であるマンションには管理組合を設置することが義務付けられています。多くの管理組合は管理会社に管理を委託し、長期修繕計画の策定や、管理の方針を決定しています。

具体的に検討する場合には、「重要事項の調査報告書」というものを取り寄せて過去の工事内容や修繕積立金の積立状況などを確認することが可能ですが、内覧の段階でもいくつかのポイントを気をつけて見ることである程度管理状態は把握できます。建物の状態のみでなく、管理人が丁寧に清掃や管理をし、住民がみんなで住む建物として大切にしながら生活しているかも確認すると良いでしょう。

<内覧の際のチェックポイント>

・ポスト周りにチラシが散らばっていないか。

・駐輪場の自転車がきちんと並んでいるか。

・掲示板にお知らせや注意書きなどが貼っているか。

・共用部分や建物の周りのゴミや汚れが目立たないか。

・外壁のタイルが剥がれたまま放置されていないか。

・手すりがサビていないか。

・共用廊下の防水層がボロボロになっていないか。

   2)総戸数に対して修繕積立金が適切か見極めよう

一般的に、区分所有マンションでは、日々の管理に使用する「管理費」と、修繕のために積み立てる「修繕積立金」を各戸の区分所有者が負担して毎月管理組合に支払っています。築年数が経過すると、当然、修繕が必要な箇所が増えてくるので修繕積立金は数年に一度見直しされ、値上げされていきます。総戸数の少ない小規模物件だと各戸の負担が大きいため、修繕積立金が高くなることが多くあります。一方、総戸数が200戸、300戸の大規模な物件だと、修繕積立金は築年数が経ってもあまり上がりません。

もちろん、建物の維持のために必要な費用なので安ければ良いというものではありません。極端に修繕積立金が安かったり負担のない物件は、適切な修繕ができずに建物が傷んでいたり、修繕の際に一括で負担金を集めることがあるので注意が必要です。エレベーターが戸数に対して極端に多かったり、機械式駐車場がたくさんある物件なども、維持修繕費用が多くかかり・積立金が大幅に上がっていく可能性があります。

見極めるべきは、「戸数に対して適当な費用に設定されているか」「積立がある程度あるか」「今後、修繕積立金が上がったとして負担が大きすぎないか」。長期修繕計画があれば確認してみるのも良いでしょう。

 3)室内でリノベーションで変更できない部分を確認しよう

工事中の現場

5階以下の小規模な建物の場合、壁式構造といって室内の壁のほとんどが構造体になっていることがあります。壁式構造の建物は大きな間取り変更が難しいため、注意が必要です。

また、築30年くらいの建物だと、水廻りの壁がコンクリートブロックでできていることが多くあります。コンクリートブロックは厳密には構造体ではないので解体が可能ですが、解体の際の騒音と振動が大きく、工事中に他の住戸へ与える影響が大きいため、できるだけ避けるのがお勧めです。

その他、共用廊下側の部屋に室外機置き場がなく、エアコンが設置できないこと、追い焚き配管を通す穴がないため給湯器とUBを交換しても追い焚き機能をつけることができない場合も多くあります。必ず実現したいことがある場合、その物件でできるか、はあらかじめ確認しておきましょう。

マンション探しの優先順位を決めよう。

内覧の際に注意するべきことを確認したら、次にしたいのは物件探しの優先順位決め。立地、予算、広さはもちろん、築年数、どの耐震基準で建てられたのか、ペットの可否、明るさや階数や眺望、マンションの外観も大事。ただし、100%完璧な物件はありません。絶対に譲れない条件、できれば実現したい条件と、優先順位を決めることが大切です。例えば、ペットを飼っている(飼いたい)人の場合、ペット飼育可能な物件はかなり限られるので、エリアや築年数の条件を広げて探す必要があります。または、耐震性を重視する人の場合、面積が希望より少し小さくなったり駅から少し遠くなったりしても良い、というように融通がきく条件も持っておくのが良いでしょう。

 

リノベーション向け物件、気になるものはまず見に行こう。

条件が整理できたら、後は気になる物件をとにかく内覧することです。「写真で見ていたらとても素敵だったけれど、実際は思ったより暗かった・・」「期待していなかったけど思った以上に居心地が良かった」など、内覧して感じることはさまざま。不動産は同じものはひとつとしてなく、築年数や広さ、立地など条件が複雑に絡み合います。もちろん途中で物件探しの条件が変わってもOK。

良い物件があったら・・という探し方ではなかなか良い物件には巡り会えません。まずは1ヶ月、『物件探しを頑張る期間』を決めてその時に出ている物件をじっくり探してみるのがオススメです。どの場所にどんな物件がどのくらいの値段であるのか?がなんとなくわかるようになるので、その期間で物件が決まらなくても、今後探していく基準がはっきりしてきます。

同様の理由で、どの場所でもいいんです、という探し方もあまり良くありません。まずは第一希望の場所を決めて、じっくりそのエリアの物件を見てみること。条件に合わなければ次のエリア・・と少しずつ広げるのが希望に合う物件に出会う近道です。

 

リノベーション向け物件探しで忘れてはいけない一番大切なポイント

物件探しを進めていくと、月々の支払いや資産性、管理のこと・・難しいことがたくさん出てきてだんだん楽しいはずの住まい探しが辛いものになってくることがあります。そんな時に思い出して欲しいのが「フィーリング」も大事ということ。そこで生活していくイメージができるか、外観やまちの雰囲気が好きか、その部屋の中でリラックスできるか。目的は「家を買うこと」ではなくて、「実現したい暮らしを叶えること」。物件のいろいろな条件と同じくらい、大切にして欲しいポイントです。

 

アートアンドクラフトがおすすめする魅力的なリノベーション向け物件

「最大公約数向けに作られた、可もなく不可もない物件はつまらない。」「古くても風情のある物件、外観や街並みがデザインされてカッコイイ物件に住みたい」「生活がちょっと豊かになるような個性的な物件に住みたい。」これまで私たちは、そんな思いを持つたくさんの方の物件探しとリノベーションをお手伝いしてきました。例えばこんなマンション。物件探しの参考にしてください。

●建築家デザインのマンション

リリービレッジ

代表的なのは北摂に多くの実績がある遠藤剛生設計のマンション。独特の建物形状、間取りも特徴的。近未来的な外観だったり、各部屋に大きなテラスがあったり、敷地内にプールがあるマンションまで!他にも、有名建築家が設計した個性的なマンションもあります。外観や共用部分、間取りが魅力的なのはもちろん、築年数が経過しても大切に住み継がれているこれらの物件。建物の良さを生かしながら、中もぜひかっこよくリノベーションしてほしい物件です。

<建築家デザインのマンションの例>

遠藤剛生設計:「千里山ロイヤルマンション」「南千里オリーブヴィラ」「南千里ローズヴィラ」「箕面リリービレッジ」「緑地公園グリーンハイツ」「千里中央パークヒルズ」「プレステージ新千里西町」「ローレルスクエア豊中緑丘」「千里緑丘ハウス」「千里中央ローズヴィラ」「千里月見ヶ丘ハイツ」「ローズコーポ千里」

石井修設計:「ドムス香里」

安藤忠雄設計「ジークレフ六甲の丘」など

●コーポラティブハウス

都住創

コーポラティブハウスとは、一般的なマンションのように建物を建ててから区分所有者を募集するのではなく、入居希望者を先に集めて組合を結成し、組合が主体となって建築を進める方式で建てられたマンションのこと。ひとつひとつ間取りが違ったり、メゾネットが多かったり、独特な形のマンションが多くあります。代表的なのは大阪市内に点在する、「都住創シリーズ」。設計事務所ヘキサが提唱し、1980年代を中心に20棟あまり建築されました。長方形のハコに○LDKの間取りがはめ込まれたマンションでは満足できないという方にオススメ。

<コーポラティブハウスの例>

「都住創松屋町住宅」「都住創岩井町セブン」「都住創大手通」「都住創コープ内平野」「都住創うつぼ」「都住創中大江」「都住創徳井町」「都住創石町」「都住創清水谷」「都住創内淡路町」「都住創スパイヤー」「都住創カレンズ」「都住創大手前」「コーポタウン竹城台」など

●その他のオススメ物件

ひな壇

その他、住宅供給公社が分譲したマンションも戸数が多く、敷地に余裕があって管理が行き届いているものが多いのでよくリノベーションの素材として取り扱います。「中津リバーサイドコーポ」、「西道頓堀コーポ」、「リバーサイドほんじょう」など。また、大阪万博時代に外国からの来賓の滞在場所として建てられたまるでリゾートマンションのような「千里山グランドハイツ」。建築されたのはなんと1932年築、大阪最古のコンクリート住宅と言われる「トヨクニハウス」。建物自体は古いですが、今では見られない手仕事で建てられたディティールが魅力的。他にも、北摂や阪神間の傾斜地に見られるひな壇マンション、「シャンボール芦屋川」「夙川台サンハイツ」「グランデ箕面」なども、エレベーターがなく階段での移動となりますが、大きなルーフバルコニーと眺望は他には変えられない魅力!他にも、街区を一体として開発した大規模物件で、敷地内の緑や公園が魅力的な物件として、「ベルパークシティ」「桜宮リバーシティ」「ジオ緑地公園」などもリノベーションの素材としてオススメです。

 

リノベーション向け物件探しのお手伝いをしています。

アートアンドクラフトは一級建築士事務所と工務店であると同時に、宅建業者でもあります。物件購入にかかる資金計画から、物件の個別紹介、案内、契約手続きまでトータルでお手伝いしています。購入前に一緒に内覧することで、どんなリノベーションがどの程度の費用でできるか、実現が難しいこと、修繕が必要な箇所など一緒に確認できます。まずはお問い合わせください。

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<関連コラム>

▷ひな壇型マンションをリノベーションしたい!

▷リバービューマンションをリノベーションしたい!

 

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文:松下文子 Arts &Crafts 取締役副社長

 

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