リノベーション費用の目安が知りたい!予算の決め方 - リノベーションコラム

リノベーションをする際にやっぱり一番気になるのは、希望を叶えるには一体いくらかかるのか。何度も経験することではないので、見当もつかない人もいらっしゃると思います。じゃあ、まずは複数社に見積もりを取るのが正解?実はそうとも言い切れないのです。リノベーションの費用の目安と、予算をどうやって決めるか、その考え方についてまとめました。

 

記事の著者

松下文子

Arts &Crafts 取締役副社長
大阪府生まれ。大阪市立大学生活科学部居住環境学科を卒業。不動産デベロッパーを経て、2014年にアートアンドクラフトに入社。不動産の知識を活かし、自分らしい住まいづくりのコーディネートをしています。二級建築士/宅地建物取引士。

 

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リノベーション費用の目安

ひとことでリノベーションと言っても、内容によって金額には大きな差があります。例えば、一般的な鉄筋コンクリート造のマンションで広さが60平米程度の場合。工事内容によって800万円くらいから1300万円くらい、中にはもっと金額をかける方もいらっしゃいますし、設備を一部そのまま利用するなどして費用を下げる場合もあります。戸建て住宅のリノベーションになると、建物の作りもさまざまなので、ますます金額には幅がでます。工事費用の目安としては、1000万円程度から、外壁や屋根、耐震補強などもすれば2500万円近くまで費用が膨らむこともあります。

キッチンやお風呂だけの交換、壁紙の張り替えのみなど単体の工事では、仕様さえ選べばある程度の金額がわかります。一方、同じ改修工事でも間取り変更や住宅設備の交換、内装の変更、造作など多岐にわたる工事が関わる全面的なリノベーションの場合、工事費用の構成は複雑になります。会社によっては、標準的な設備が決まっていて、この内容であればこの金額、と見積もりを出してくれる場合もありますが、好きな素材を選んで間取りも決めて・・ある程度の自由度を持ってリノベーションをしたい場合は、正直なところ、最初に詳細の見積もりを確認するのはあまり意味がありません。工事の対象物件の状態もさまざまですし、見積もりで想定されている内容と施主が希望している内容が全く同じであることは考えにくく、かつ、打ち合わせを始める段階で自身の希望内容を明確に持っておられる方はほとんどいないためです。

 

 

リノベーション費用の構成はわかりにくい?

規模にもよりますが、リノベーションの見積もりでは、工種ごとに金額が出るのが一般的です。例えば、弊社のリノベーションの見積もりは以下のような内訳になっています。

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仮設工事   :工事をするための足場や養生、その他仮設物の費用など

解体撤去工事 :工事に伴う解体費用、設備の撤去費用、廃材処分費や小運搬費、アスベスト調査費など

左官工事   :モルタルでの躯体の補修やモルタル仕上げの土間、コンクリートブロックの施工費、タイル下地、珪藻土や漆喰などの施工費

塗装工事   :各所の塗装費用

タイル工事  :タイルの建材費用と施工費

建具工事   :鋼製建具、木製建具、網戸など材料費と吊り込み費用など

木工事    :壁や床、建具枠、フローリングなどの木材料と大工の施工手間など

内装工事   :壁紙、ビニル床材、カーペット、畳などの材料と施工費

金物工事   :棚受やタオルバーなどの金物と、工事で使う雑金物、その施工費

給排水工事  :給水管、排水管、汚水管などの撤去と新規配管にかかる材料代と施工費

衛生機器工事 :キッチンや洗面台、浴室などの機器代金と施工費

電気工事   :電気配線、スイッチ、分電盤、インターホン、換気扇、消防代金などの機器代金と施工費

照明工事   :各種照明の機器代金と施工費

ガス工事   :ガス配管、ガスコンセントなどの撤去費と施工費

美装工事   :工事後の洗い工事

設計デザイン料・工事監理料

諸経費

消費税

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なかなか馴染みがない内容も多くてわかりにくいですよね。キッチンの交換ひとつでも、衛生機器工事と給排水工事とガス工事、タイルを貼るならタイル工事、場所を変えるなら木工事や電気工事・・など、1箇所の工事に対して複数の工種が関わってきます。

また、金額が大きく、かつイメージがしにくいのが施工費、つまり職人の人件費のところ。小さい範囲でも数日にわたって施工をする必要があったり、複数箇所の工事をまとめて1日で実施できたり。同じような間取りでも、作り方や素材によって手間のかかり方が大きく違ったり。施工費は全体の工事の内容とボリュームがわからないと費用の算出がしにくい部分でもあります。

 

 

リノベーション費用、どうやって想定する?

じゃあ、どうやってリノベーション費用を想定したらいいの?

もちろん、大体の工事のボリュームを想定して予算を決めない限りは先に進めません。重要なのは担当者との内容のすり合わせです。イメージ写真を見ながら、使いたい素材や実現したい暮らしを共有して、どのくらいの予算設定であれば希望が叶えられそうかをお互いに確認しながら決めていきます。また、実際の施工事例をできれば2、3件は見ておいた方がより費用の参考になります。おおらかな仕上げが許容できるのか、細かいところまでこだわりたいのかによっても想定予算は変わってきます。具体的な物件や工事時期が決まる前に施工事例見学会などに参加しておくといざ工事が始まる時に慌てずに予算の打ち合わせができます。

戸建て住宅やビルなどで構造や屋根、水道やガス管の引き込みなどインフラも大幅に工事をしたい場合は、有償でも一度きちんと現地の調査をして状態を明確にしておいた方が安心です。

 

予算アップの要注意キーワード

こんなキーワードが出たら、予算アップは覚悟したほうがいいかも?という内容もあります。

一番は、「水漏れ」「雨漏り」。どこから漏れているかが明確な場合でも、いざ解体してみると広範囲に水濡れの跡があることも。将来的に腐ったりカビの原因になったりする可能性もあるので、大きな工事をする時にできるだけ交換をしたほうがいい場合が多くあります。また、原因がすぐ判明すればいいですが、なかなかどこから水が漏れているかわからず長期化することも。対応にずるずると費用がかかってしまう可能性もあります。

そのほか、耐震や断熱などの性能面のご要望が高い時。お金をかければ新築同等まで性能を引き上げることは可能ですが、もちろんそこまでするにはそれなりの費用がかかります。予算とご要望内容のちょうど良いところを考えていくのがおすすめです。戸建住宅の場合は外構や外壁、屋根など修繕にも大きな費用がかかります。建物の状態と、ご要望を鑑みて、どこにどのくらいの予算を確保するのかの整理が必要です。

 

減額調整も大事な設計過程

リノベーションの設計を進める際は、予算を確認しながらそこを目掛けて打ち合わせ進めます。それでも、設計打ち合わせを進める中で要望が膨らんだり、想定していなかった補修箇所が出てくるのはよくあることです。ある程度内容が決まった時点で見積もりをすると、当初の予算をオーバーすることも多くあります。そんな時は減額案を出して、予算がかかっても絶対に実現したいこと、できれば実現したいこと、採用をやめること、工事ではなく既製品の家具で対応すること、将来的に実施する予定として今回の工事からは外すこと・・・などと優先順位を整理しながら調整をしていきます。

減額調整というとちょっとネガティブに思うかもしれませんが、要望をとことん詰め込めば良い空間ができるわけではありません。優先順位をつけてメリハリのある空間ができたり、とことん作り込むより少し余白がある方が融通が効いて暮らしやすい住まいになったりもします。減額調整も設計の大事な過程と考えて楽しんでしまいましょう。

 

解体してからのびっくりも想定しておく

ゼロから思い通りにできる新築と違ってリノベーションではすでにある建物に大して工事をするため、設計段階ではわからなかった補修工事が解体後に必要になったりする場合もあります。ケースバイケースなので一概には言えませんが、マンションの場合は30万円くらい、戸建ての場合は100万円くらいは費用に余裕を持っておいた方が良いでしょう。予算には余裕と柔軟性を持って設定しておくのがおすすめです。

 

不安な時は定額制リノベーション

それでもやっぱり明確に金額が決まっていないと不安、というときは、定額制のリノベーションを利用する選択肢もあります。アートアンドクラフトのセレクト型リノベーションTOLAでは、面積によって基本工事費が決まります。オプションや建物の状態によって金額が変わる部分もありますが、大きなブレは出ないので、安心して打ち合わせを進めることができます。

▶︎セレクト型リノベーションTOLAについて詳細はこちら

 

 

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文:松下文子 Arts &Crafts 取締役副社長

 

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