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ストックの履歴をたどる

子供が増えたことにより、戸建てへの住替えを決意されたNさん。夫婦+こども3人の5人家族。購入されたストック(既存建物)は、築年不詳の連棟長屋の1住戸が切り離されて独立し、増築が繰り返された建物。解体してみると現れた、丸太梁とトラス梁をあえて見せ、ストックの辿った時間をデザインに取り込みました。

連棟長屋の面影が残る、既存丸太梁を現しにした空間。 夜間には梁上に設置した間接照明が勾配天井を照らし、空間の広がりを演出。

木造に鉄骨造が増築された歴史がわかるアングル。 こどもたちが小さいうちは、2階は広々ワンルームとして使用。床は構造用合板素地仕上げ。

既存鉄骨トラス梁を現しにした空間。 「走り回ったり、ハンモックで遊んだり、こども達がのびのび楽しく過ごせています」(Nさん) マンションだと気になる下階への騒音も、戸建てだと気兼ねなく過ごせるよう。

広い土間玄関の正面の壁は黒板塗装。現しにした既存トラス梁はものをぶら下げてディスプレイできる。 「ゆくゆくは作家ものを置く、お店兼ギャラリー空間にしたい」(Nさん)

土間に設置した洗面。背面の壁は既存コンクリートブロックを白塗装。レトロな窓ガラスは既存再利用。 内玄関と廊下を緩やかに繋げるガラスブロックも空間のアクセントに。

両側引き分けの扉で仕切る内玄関。蹴込みを凹ませて靴収納に。階段格子は既存を再利用したもの。

味のある風合いを活かし、既存をそのまま再利用した階段。 「既存の色味と調整しながら現地打ち合わせを重ね、フローリングなどの塗装色を一緒に決定していけたのは嬉しかった」(Nさん) 既存トラスを現しにすることで、階段下から2段目の天井高さの低さを視覚的に認識しやすいように工夫。

モルタル仕上げのキッチン腰壁。 レンジフードの排気ダクトを現しにすることで、ゆとりのある天井高さを確保しています。 ダイニング横、真壁は既存柱と漆喰仕上げ。

リノベーションで水回りの位置を一新。 狭く閉ざされていたキッチンは建物の中心に配置し、手持ちのキッチン用品に合わせて引き出しも全てオーダーメイドで現場造作。

足場板で作った造作洗面台。転び止め付きの壁面タオル収納。

キッチンからこどもの様子が見渡せるよう、壁面に鏡を設置。LDKからすぐ手が届く場所にパントリーを広く取ることで、キッチン用品だけでなく、子供の衣服やオムツなども一箇所に集約でき、家事や育児がしやすくなったお気に入りのポイント。

既存の階段を撤去し、2階とつながる吹き抜け空間を配置したフリースペース。

ロフト用タラップを配置することで、細長い建物の上下移動のためのツール兼こどもの遊び場となっている。

夏場はプール遊びも可能な屋外土間テラス。ガス管を物干しに利用。勝手口足元には以前の住まいで使っていた想い出のタイルを配置した。

各部屋を彩るドライフラワーは奥様のセレクト

入居者の声

もともと町家や古材など、素材感や味のある雰囲気が好きで、新築よりもリノベーションに憧れを持っていました。素人である自分達が細部まで全て決めるのは難しいので、好きなイメージをスクラップブックにまとめて、いかに設計士さんと共有できるかが大事。解体してみて、梁を現しにする計画に変更したことは、自分たちの中で予算外だったが、こういった嬉しい誤算(上方修正)も新築では考えられないリノベーションならではのポイント。既存のストックは内覧当初ボロボロすぎて、周囲から購入を心配されるほどだったが、コストをかけてでもそれに見合った魅力があったと思います。枠組みの決まったマンションとは違って、構造躯体の補強など大掛かりになることもあるけれど、一軒家ならではの魅力を最大限に活かし、自分たちらしい住まいを実現できました。

OUTLINE

案件名:N邸
所在地:大阪市東住吉区
構 造:鉄骨造+木造
築年月:不詳
竣工月:2019年2月
施工面積:119.77㎡(延床)

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*工事費:非公開
写真:増田好郎
動画:jyota tomonori
         misuzu

担当者より

着工前の設計図通りに完成する事が、必ずしも正解であるとは限りません。「解体してみたら・・」リノベーションでは、少なからずあったりします。そんな時こそ、Nさんの想いやこだわりをさらに進化させるポイント!築年不詳のストックの歴史を読み解く作業は、とても難しい一方で、とてもワクワクさせられました。半世紀以上、天井裏に隠されていたストックの魅力が、今こうして住まいの顔となりました。(芝山)

STAFF

アーキテクト:芝山明日香
コンサルタント:大村直子

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