コロナ禍で仕事が在宅勤務に切り替わり、それまで住んでいた1Roomの賃貸住宅ではストレスを感じるようになったというUさん。アートアンドクラフトの「六甲のアパートメント」を見て、「これだ!」と、リノベーション前提での物件探しをスタートしました。購入したのは、長年暮らしてきた神戸の山手に佇むヴィンテージマンションの一室。空間を特徴づけているのは、中央に設けられた収納カウンター。同じ1Roomでも一味違う。腰高の収納カウンターが空間をゆるく仕切り、それぞれの居場所で落ち着いて過ごせる住まいになりました。
1Roomの室内に明るい日が入る。晴れた日の夕方は特に、夕日がとてもきれい。「屋上に上ると神戸の海と街、西側に伸びる六甲山と眺望が抜群で、気候が良い時はそこで休憩します」(Uさん)
バルコニー側のインナーテラスはビニルタイル仕上げ。グリーンを置くのに重宝している。
リビングダイニングとベッドスペース・ワークスペースの間には絶妙な高さで空間を仕切る収納カウンター。奥の淡いブルーのクロスに趣味のフラワーアレンジメントで作ったリースが似合っている。
ベッドスペースも明るい窓際に配置。ワークスペースとの間は型ガラスを使ったパーテションで仕切りを作った。
在宅勤務も快適に過ごせるワークスペース。
ベッドスペース・ワークスペース側から見た収納カウンター。リビング側と互い違いに棚として使えるようになっている。
キッチンは設備はそのまま、吊り戸棚を撤去し、タイルや金物、固定棚でアレンジした。
ダイニングにつながるアーチ開口も既存を利用したもの
水回りの壁がほぼコンクリートブロックでできていて解体が難しかったため、水回りの移動はせずに計画。既存のアーチ開口、ルーバー扉がいい味出しています。
洗面のタイルとトイレの扉は「神戸の海の色」をイメージしたブルーに。
トイレも機器は既存を利用。内装を整えた。
入居者の声
賃貸物件で約10年の一人暮らしを経て、住まいのステップアップをしたいと思っていた際に、コロナ禍で在宅勤務になったことがきっかけでした。物件は古いですが、メンテナンスの状況や部屋からの眺望、古い建具やアーチ開口に二度と出会えないと思いリノベーションをスタート。毎回の打ち合わせはとても楽しく、特に部屋の真ん中の大きな棚案を頂いた時は、興奮しました。ずっと憧れだったタイル使いなども実現できたことも嬉しかったです。今は雑貨や植物が好きなので、思う存分楽しむことができるようになって、毎日とても癒されています。リノベーションは、物件の良さを生かし、自分の生活スタイルを考慮してもらえるので住み心地が抜群です。大切に住んでいこうと思います。
OUTLINE
物件名/U邸
所在地/神戸市東灘区
構 造/RC造
築年月/1974年
竣工月/2021年3月
施工面積/57.58㎡
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*工事費:非公開
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写真:平野愛
担当者より
キッチンや水周りが玄関側に集約され、バルコニー側はほぼ正方形だったUさんの自宅。間口が広く感じられ、日差しが奥まで届き、明るく開放された印象がありました。その正方形の空間にご要望の要素を配置するのが今回のミッションでした。
1ROOMのプランニングは、読んで字の如く、1つの空間にあらゆる要素(食う寝る暮らすetc.)が存在し、在宅ワークも日常になった今、家に求められる要素も多彩なものになりました。だだっ広くすれば存分に使えますが、それもなかなか難しいところ。そんな時は、パーティションや腰壁などで緩やかにエリア分けを行うと、空間を兼用しつつも場は混沌とせず、開放された空間の中であらゆる要素を堪能できます。緩やかさも人それぞれで、パーティションの大きさや腰壁の高さも、十人十色の塩梅で決めていきます。
Uさんのお家で採用したものは、収納カウンターとパーティション。リビングのソファでくつろぐときもダイニングで食事をするときも、高さ1.2mの収納カウンターがベッドや仕事道具の存在を消してくれますが、部屋全体の広さはそのままでゆったりと過ごせます。ベッドスペースとワークスペースの間のパーティションは、足元はしっかり仕切り、中段はデザインガラスで透光性はあるがはっきり見えない、上段はなにもなし。寝る・作業するというUさんの使い方に合う素材を選んで頂きました。
壁を作ることだけがプランニングではありません。パーティションや腰壁が織りなす1ROOMの可能性をたくさんの方に知って頂きたいです。(一森)
STAFF
アーキテクト:一森 典子
コンサルタント:大村 直子
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