想定を超えて長期化している新型コロナウイルスの感染拡大。外出自粛が求められる中、自由に出かけられない辛さを感じながらも、仕事や遊びに出かけて家では眠るだけの忙しい日常って本当に幸せだったの?と、我に返った人も多いはず。とはいえ、リモートワークができるから地方に移住なんて実際にできるのはごく一部。引き続き都市に住む人の住まいはどう変わる?取ってつけたようにワークスペースをはめ込むだけでいいの?
人口が集中するにつれコンパクトになった都市の住まい。求められる役割が減ってしまっていたのではないか。食べて、眠って、身なりを整え、家事をして、仕事をして、余暇を過ごす。目指したのはそれぞれがMIXするのではなく独立して快適な住まい。3階建ての縦に伸びる都市型戸建てというストック特性を活かして、これからの都市居住のあり方を考えたケーススタディ住宅です。リノベーションの目安金額は約2850万円(税込)
*RENOVATION OF THE YEAR 2021 部門最優秀賞を受賞しました。
1階部分は階段を架け替え、大きな空間を確保。「ハナレ」と名付けたワークスペースを設けた。イメージしたのは、昔ながらの住宅の離れや農家の納屋、商店街の店舗併設住宅。住まいの中にありながら生活スペースとは少し切り分けた空間とする動線を計画した。
住まい部分のエントランスと二階へ向かう階段。ネイビーのアールの壁の内部は収納になっている。
エントランス上部は鉄骨の躯体を現して塗装。
元々浴室があった部分にあった部分に小さな来客スペース。既存のタイルを塗装して仕上げた。
ワークスペースの棚は追加もできるように簡易な作りになっている。
3階のリビング。階段の袖壁をできるだけカットすることで奥のダイニングキッチンと一体感を出し、ダイニングの採光も確保。
ステンレスの業務用キッチンと、木とモルタルで造作したダイニングテーブル。奥には洗濯機置き場がある。
壁に開口を設けて、コンパクトな空間でも狭さを感じないよう工夫。
ダイニングキッチンがあった場所を寝室に。白いクロスとカーペットでシンプルに仕上げた。
間口3mの空間を広く使うため、廊下に設けた洗面台。
2階から3階の階段は既存仕上げの上にニードルパンチを上貼り、3階から屋上はデザインを切り替えて縞鋼板の踏み板と木毛セメント板で仕上げた。
北に六甲山、南に神戸湾、西に神戸の市街地を望む開放感のある屋上。
間口約3m、奥行き9mのコンパクトな都市型戸建て。雨漏りがあったため、専門機関による調査を行い修繕と外壁・屋上の防水塗装を行った。
屋上からみる六甲山の夕焼け。
OUTLINE
所在地 /神戸市灘区
構 造 /S造
築年月 /1985年
竣工月 /2021年6月
施工面積/81.13㎡
―
写真:増田 好郎
STAFF
アーキテクト:椋本智恵
コンサルタント:松下文子
その他の事例