コロナ禍で在宅時間が増え、賃貸からの住み替えを考え始めたNさん。買うなら、立地も中身も妥協したくない、という思いから、自ら物件探しに動き、靱公園に隣接する築42年のビンテージマンションを購入しました。間取りは、マンションの特徴的な扇型の外形とNさんの動線からヒントを得て計画し、内装は学生時代に留学したフランスの住まいやプチホテルを彷彿とさせるような素材や色を選択。Nさんのセンスが光る家具や雑貨を並べると、本場の「アパルトマン」のムードを感じる住まいになりました。
元々あった間仕切りを撤去した、視線の通るLDK。天井高を確保するために、天井は躯体現し。床材は杉の無垢材の経年変化を楽しみながら、味わいのある空間にしていきたいというご要望から採用。
リビングの扉を開けると空間の雰囲気をグッと引き立てるアンティークの家具が並ぶ。
もう一部屋作るかどうか悩んだLDKの一部。床材を切り替えて、グレーの目地を入れた白い樹脂タイルで仕上げ、多用途で使えるような空間にした。
部屋全体が台形になっている間取りに合わせて、変形コの字型のキッチン。ステンレスの天板は特注で作った。どちらも台所に立つNさん夫婦が作業しやすい空間に。
デザイナーの島田順子さんのキッチンを参考に、天板はステンレスを採用。下部はオープンにして、食材を入れるBOXやキッチンワゴンを並べた。
Nさんが、これだけは譲れない!ということで導入したドイツ製の食洗機。カレー鍋も予洗いなしで入れられるなど、家事軽減に一役買っているそう。
エントランスの床材は、リビング一部と同じ樹脂タイルで仕上げ、統一感を出した。また左の扉は、元々この物件で使われていたものを再塗装して利用。
ラバトリーは少しくすんだグリーンのクロス、さらに洗面台は乳白色の人工大理石、真鍮の水栓を採用し、アパルトマンのイメージを一層際立たせた空間に。
帰宅後のNさんのルーティーンが一筆書きで済むよう、ラバトリーからもウォークインクローゼットを経由し、リビングにアクセスできるような平面計画とした。
ウォークインクローゼットの有孔ボードや棚板は、Nさん自身でDIYし、取り付け。
寝室もリビングとは異なるクロスを使い、空間にメリハリを持たせた。また、寝室の照明もNさんが一目惚れしたアンティーク。
「部屋を出るとすぐに大きな公園があることが、広大な庭付きマンションと解釈できた」という物件購入の決め手ともなった靱公園の存在。
入居者の声
住み心地は最高で、特にリビングで過ごす時間が今まで以上に長くなりました!ソファもフランスの逸品を買った為、なかなか立ち上がることができません…。休みの日は、朝から公園で日光浴してコーヒーを飲んだり、夜は窓を開けて風を浴びながら晩酌をしたり、充実して過ごしています。これからも快適に過ごせるように、2人の趣味や好みが詰まった住まいづくりをしていきたいと思っています。
OUTLINE
案件名:N 邸
所在地:大阪市
構 造:SRC造
築年月:1979年10月
竣 工:2021年
施工面積:70.97㎡
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*工事費:非公開
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写真:平野愛
担当者より
建材を探していく中で「これ良いやん♡」と直感的に思うものが稀にあります。が、いつ出番が来るかわからずこれらは大切にストックしておきます。N邸で設計が進む中、「お、出番かも⁈」と思ったのがベッドルームとラバトリーの壁紙たち。微妙な違いがあるこの壁紙たちをお部屋の雰囲気や隣接する洗面カウンター等との相性で使い分けをして頂きました。最終選定の過程はとても素敵な時間で、建材たちが「住まい手の思い」に昇華されていくようで、お話を聞けば聞くほど、悩まれれば悩まれるほど最後に選ばれた建材が輝いていくように思いました。直感的にストックした建材が私の手から離れていく瞬間ではありますが、それが楽しくて仕方がないのです。(一森)
STAFF
アーキテクト:一森典子
コンサルタント:上原にいな
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