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あえてビルに住む理由 都心コンバージョン事例

ここは大阪市のオフィス街にあるビル。全区分のうち約7割がオフィスで3割が住居という使われ方なのだが、夫婦が選んだのは住居フロアではなくあえて採光も乏しい事務所フロア。数々の物件を見てきたふたりが、わざわざ事務所から居宅へ登記変更(コンバージョン)してまでなぜここに住もうと?聞けば、音好きな夫婦にとって夜や週末に人がいなくなるこのフロアは、誰にも遠慮なく気ままな時間を過ごせる隙間だったというわけ。元弁護士事務所だった部屋は良質な音が響く隠れ家のような空間になっていました。

細長い区画。天井はラワン合板仕上げ、床は土間のままラフにワンルーム使いしている。

小上がりの横、白い板で囲われた小屋の中はウォークインクロゼット

青い扉が浴室、緑の扉がトイレ、奥のくぼみは夫の寝床になっている。

配管の関係で床上げしている部分はえんじ色のビニル床タイルに白目地を。

水回りの壁はブロック造で、動かすには制約があったので色やドアノブを交換しつつ再利用している。

玄関に鎮座する黒いキッチン。消防法にもとづき設置されている誘導灯が事務所の名残。

家財は集めた物、貰い物、楽器などごちゃ混ぜ。気分で模様替えを楽しんでいる。

換気口とスピーカーも事務所の名残。今も現役で、時折館内放送が流れてくるらしい。

トラッドな外観のビル。下層がオフィスフロアで、上層が住居フロアと分かれている。

入居者の声

とても静かですよ。マンションだと周りへの気遣いで敏感になりがちだけど、ここは遠慮の"え"の字も要らない。ビルならではの適当さが気に入っています。(夫)
用途が定められたモノや部屋が好きじゃないんです。向こうから決めてほしくないっていうか。だからワンルームでただ棚を置いて、向こう側が自分の部屋だとか、そうやって手間をかけながら自分たちらしい空間が作りたいと思っていました。(妻)

OUTLINE

物件名 /N

所在地 /大阪市中央区

構 造 /SRC造

築年月 /1979

竣工月 /201311

施工面積/67.9

A&Cで物件探し(事務所→居宅へ用途転用)

担当者より

トイレへの入り口がもともと低く、出入りするのにも頭が当たりそうだったんです。でも水回りの壁はコンクリートブロックなので、簡単にドアを作りかえれない。どうしようかと恐る恐るNさんに相談したら、「鹿の頭をドアの上に飾ります!」とお返事が。(それで入るときに注意を促すので、ドアはそのままでも問題ないとのことでした…)人から見たらマイナスに感じることも、「普通こうだろう」と考えがちなこともアイデア次第でどんどん自分たちらしく変えていっちゃう方たちでした。(川本)

STAFF

設計・監理:川本美佳

コーディネーター:岡本典子

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