WORKS

古さも味な戸建てリノベーション

大阪市内でイタリア料理店を営むKさん夫婦と息子2人の4人家族。長らく過ごしてきた賃貸が子どもたちの成長と共に手狭になってきた。そんな時、思いがけず近所で売りに出ていた鉄骨造の戸建てと出会い、購入を決められました。ストックが持つ、古き良きレトロな雰囲気を残しつつ、全体をリノベーション。大掛かりな間取り変更や仕様変更はせずとも、新旧違和感なくバランスを整えつつ、暮らしを豊かにするプラスαも叶えた事例です。

窓が多く天井高のある約15帖のLDK。既存天井を取っ払い、デッキプレート現しとした。床は杉材の無垢フローリング仕上げ。新規で設けたピーリング壁が古建具と馴染む。写真左はW.I.ClosetとPowder Roomにつながる

カウンターテーブルのダイニング。作業場の床が一段低くなっているためカウンター側と目線の高さが揃う。3色MIX仕上げが印象的なタイル壁は、街で見かけたビルの外観がイメージソース

エントランスは天井クロスを張り替えて、既存聚楽壁を塗装しただけ。床材と階段、上がり框のタイルやパーティションも既存再利用

古物商「まだがんばらせてください」の古建具を採用。建具高は足元を継ぎ足し調整

2階〜屋上へのアプローチを廊下ではなく"Book Space"とした。トイレと押入を解体してゆとりが生まれた空間に壁面本棚を造作。カーペット仕上げの床だから、足を伸ばしてゆっくりくつろげる

子ども部屋は既存ジプトン天井と木パネルを白く塗装し、床材をビニル床タイル仕上げとした。新たに作ったクローゼットは扉をつけずカーテンのみ

珪藻土仕上げの壁。和天井をブルーに塗装するだけでモダンな印象に

一畳分を新たな押入れとした。畳は表替え

和室だったスペースをPowder RoomとW.I.Closetに。床下と北側に面する壁には断熱材を施し、窓にはインナーサッシを設置した

Powder Roomからの動線が使いやすい、約3帖のW.I.Closet

既存タイルは白塗装とし、グリーンのビニル床タイルと柄クロス(夫&長男チョイス)でセンスアップ。柄クロスは50~60年前のヨーロッパのデットストック品

外壁はタイル含め既存再利用。下屋の補修を施し、鉄格子と玄関扉(外部)を黒塗装で仕上げた

入居者の声

アートアンドクラフトとの出会いは、書籍「大阪 新・長屋暮らしのすすめ」でした。いつかはリノベーションで自分らしい住まいを手に入れたい!という、約14年越しの想いを叶えることができました。
元々は長屋リノベーションへの憧れからだったのですが、タイミングもあり、ちょうど良いと思った物件が鉄骨造でした。内見前はイメージする住まいになるのかという心配もありましたが、物件を見てアドバイスをもらい、きっとなんとかしてくれる!という期待感と安心感を持っていました。家の中での一番のお気に入りは、キッチンからの景色です。気持ちがよくて暮らしやすさ、心地よさを実感する日々を過ごしています。(妻)

*「大阪 新・長屋暮らしのすすめ」初版2004年/創元社/編集 橋爪紳也

OUTLINE

物件名:K邸
所在地:大阪市東住吉区
構 造:鉄骨造2階建
築年月:1972年
竣工月:2018年6月
施工面積:延床101㎡

工事費:約1,300万円(税別)

写真:増田好郎

担当者より

「気になっている物件がある」とKさんからご相談頂き内見から立会いました。既に魅力的な要素があり、少し手を添えれば化ける!と確信しました。電気や給排水管といったインフラ関係はしっかり整え、デザイン面では、Kさんのストックに対する「胸きゅんポイント」はどこか、アーキテクトが読み解きプランに反映。木パネルに聚楽壁といった懐かしくも暗い印象の室内が、白をベースに窓や建具枠、廻縁といったポイントで木部が効いたデザインに。長年の想いを叶えるお手伝いができたこと、機会をいただけたことをとても有り難く、嬉しく思っています。(岡本)

STAFF

アーキテクト:長坂絵理
コンサルタント:岡本典子

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