幼少期から過ごしてきた地元、那覇市首里。一目惚れして以来、粘り強く待ち続けやっと手に入れたテラスハウスをオフィスも兼ねた住まいへとリノベーション。各フロアが互い違いに重なり合うようにつくられた建物特有の間取りは変えずに分けられた空間には既存の良さを生かしながら悩み抜いて決めた細かなあれこれをちりばめました。「妥協せず大満足の空間になったからこそおうち時間も苦になりませんでした」と話す夫婦の住まいです。
2階から中2階に広がるLDKの壁の塗装色は打ち合わせ中に訪れた旅先ベトナムでインスピレーションを受け、絶妙な色の違いを見比べて決めた。住まいづくりを考え始めた頃から必ず置くと決めていたラタンの家具や彫金教室の先生から譲り受けた扇風機、お父さまのご友人が書いた絵を配置。
テラスハウスならではの互い違いの建物の壁を活用、夜は友人を招きプロジェクターで映画鑑賞会も
落書きのあった手摺りや階段も既存再利用。
既存のチーク材の床は木の質感を感じられるよう研磨してオイル塗装を施した。「再利用したものは気を遣わずに生活ができるのもいいところ」とMさん夫婦。
和室だった空間はデザイナーをされているMさん(妻)のオフィスへ。
オフィスの顔となる建具はイメージカラーのツートーンで塗り分け、Mさんがデザインしたロゴを配置。塗り分けや寸法まで細かく打ち合わせした。
一方、Mさん(夫)の趣味部屋はDIYで丸ごと防音仕様に。ウッドベースの演奏やホラー映画の鑑賞を楽しんでいるのだそう。
屋上の勾配天井を生かした寝室。
寝室の一部をWIC。収納スペースの存在の一切を忘れていたMさん夫婦にとって、この提案は寝耳に水だったとか。室内窓も空間のポイントに。
沖縄では希少なテラスハウスハウス群。各住戸へと続く路には手入れされた共用の庭が広がる
入居者の声
仕事をしながらリノベーション計画を並行して進めるのは想像以上に大変でした。またイメージを膨らませるのが難しい中で年齢も近い担当者に自分たちの好みやセンスを理解してもらえていることが何よりも心強かったです。(生活破綻しない程度に)費用は恐れず予算を超えてでも完成したものはやっぱり満足度が高い!これから手をつけられていない庭も整えたいし、飾る絵も増やしたい!まだまだ仮置きしているインテリアもたくさんあります。これからも少しずつアップデートを楽しみたいです。
OUTLINE
案件名:M邸
所在地:沖縄県那覇市
構 造:鉄筋コンクリート造
築年月:1987年
竣工月:2020年2月
施工面積:115.2㎡(延床)
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*工事費:非公開
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写真:井田佳明
担当者より
スキップフロアでテラスハウスの建物、かつ既存内装がチーク無垢フローリングの床、化粧ベニアの壁、吹付塗装の天井という独特の仕上げの特徴的なストックを活かしながら、希望の空間をどう実現していくかが設計のポイントでした。 既存のチークの無垢フローリングはピカピカの塗装が施されていたものを研磨して一旦無垢の状態に戻し、自然オイル系の塗装仕上げとすることで本来のチーク材の風合いを取り戻しました。壁や天井も作り替えるのではなく、塗り直すという考え方で内装を整えながら、ポイント塗装やレトロスイッチなどのアクセントでMさん夫婦らしい空間に仕上がりました。(塩谷)
STAFF
アーキテクト:塩谷昌洋
コンサルタント:森岡瑞穂
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