リノベーション向け中古戸建ての探し方と注意点 – リノベーションコラム

少し古くて味のある戸建てを買ってリノベーションして暮らしたい。事務所や店舗を併設して職住一致の暮らしをしたい。ガレージハウスでバイクと一緒に暮らしたい。庭のある郊外の戸建で家庭菜園をしたい・・戸建住宅をリノベーションして暮らしたい理由はさまざま。でも、いざ探し始めると構造も大きさも、築年数も違う戸建て住宅の中で、どんな物件がどのくらいリノベーションできるのか・・そして、築年数の経過した建物って大丈夫?と不安に思うことも多いと思います。なかなか判断するのが難しい戸建ての中古物件について、気を付けるポイントをまとめました。

 

リノベーションに向いている戸建て住宅とは?

一般的にどんな物件がリノベーションに向いているかという判断基準は、正直なところありません。築が古い古民家に魅力を感じる方も、都心の小さなビルのような戸建てが好きな方も、郊外の二階建てで庭がある戸建てをイメージする人もいるでしょう。また、どんな暮らしを実現したいかも人それぞれ。

戸建て住宅は、立地や築年数はもちろん、構造、外観、間取りなど、マンションと比較してもほんとうに色々な物件があります。大切なことは、優先順位を決めておくこと。絶対に叶えたい条件と、柔軟に変更しても良い条件をきちんと整理しておきましょう。そしてどんな暮らしを実現したいから戸建て住宅がいいのか?その点をよく考えて明確に持っておくことです。

 

こんな戸建て住宅には要注意!

一方で、こんな物件を検討する際は注意した方がいい、という戸建て住宅もあります。

再建築不可

建物の敷地は一般的に幅員4mの道路に2m以上接道していなければなりません。接道がない場合、2m未満の場合は建物を一度解体してしまうと新築ができません。そのため、住宅ローンの利用が難しく、また、何かの事情で売却したくなった時にも、手放すのが難しいと考えた方が良いでしょう。相場より格安で販売されていることが多いので、リスクを理解した上でキャッシュで購入でき、とにかく安く建物を手に入れたい方以外は検討はオススメしません。

 

建ぺい率・容積率オーバー

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合、容積率とは敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合を表します。どちらも行政が都市計画などによって、建築基準法にある数値の中から地域ごとに上限を定めています。注意したいのは、これらが規定の数値を超えている戸建て住宅が多いこと。建築当時と現在の制限が異なってオーバーしている場合(いわゆる既存不適格)もありますし、増改築などでオーバーしてしまった場合や、そもそも建築当時から制限に違反している物件もあります。こちらも利用できる融資が限られていることがあります。

 

長屋・連棟住宅・タウンハウス

賃貸住宅では人気のリノベーション長屋ですが、自身で購入して住まいにするのは実は結構難しいんです。単体では建て替えが難しいことや、敷地境界が曖昧なことから、住宅ローンの利用は難しいことが多くあります。住宅ローンを利用せずに購入する場合でも、建物が接するについて隣家と後々トラブルになることがないよう、共有なのか越境なのか、敷地境界はどこなのかを確認して覚書などを結んでおくのがオススメです。

 

建物の状態が著しく悪い

区分所有者から修繕積立金を集めて計画的に修繕を行う共同住宅と異なり、戸建て住宅のメンテナンスは所有者に委ねられています。屋根や外壁は一般的に10数年に一度はメンテナンスをした方がいいと言われていますが、全くされていない場合もあります。また、雨漏りがした状態で放置されていると構造がひどく傷んでいることもあります。

リノベーションでとことん修理することはできるので、その建物が魅力的であれば検討の余地はありますが、建物をとにかく安く購入したいからという理由で選ぶのは要注意。結果的には工事に多大な費用がかかることがほとんどです。

 

ハウスメーカーの型式適合認定の住宅

ハウスメーカーが独自の工法で建築基準法に適合している旨の認定を受けて建築し、審査や検査を簡略化している戸建て住宅を「型式適合認定」と言います。型式適合認定で建てられた住宅の仕様は建築したハウスメーカー以外で知ることはできませんので、間取り変更を伴うリノベーションは難しいことがほとんどです。内装の変更のみであれば工事は可能ですが、大規模な工事を希望する場合は建築した会社でしかできないと考えた方が良いでしょう。

 

建物の状態を把握しよう

構造や建物の状態、どのくらいの工事が必要かなど、判断するのが難しい戸建て住宅のリノベーション。具体的に検討したい物件は、戸建て住宅のリノベーションの経験がある建築士との現地確認がオススメです。もちろん、解体しないとわからないことはたくさんありますが、目視でわかる範囲で修繕や補強が望ましい箇所、どの程度のリノベーションができるかなどを確認することができます。また、売主にできるだけ詳しく建物のメンテナンス状況をききましょう。現時点で不具合がなくても手を入れた方がいい場所などを判断する基準にもなります。

売主の了承が取れれば、専門家によるホームインスペクションを実施するのもひとつの選択肢です。専門家がより詳しく建物の状態を確認するため、購入の際の大きな判断材料にできます。

 

戸建て住宅の構造と特徴

建物の構造によってもどんなリノベーションができるかは異なってきます。

戸建て住宅で最も数が多いのは木造軸組工法で建てられたもの。比較的自由に間取りの変更が可能です。ただし、壁を取っても柱や筋交いは残るので、ガランと広い大空間を確保するのは難しいことがほとんど。柱や筋交もデザインとして楽しんでしまいましょう。また、耐震性を担保するのに必要な壁量があるので、壁をどんどん取ってしまってもいいというわけではありません。比較的容易に壁量計算ができるので、耐震改修は検討しやすいのが特徴です。木造でも、2×4(ツーバイフォー)住宅は構造上間取り変更に制限が多くなります。

一方で、比較的大きな空間が確保できるのが、鉄骨造(S造)の建物です。構造体の厚みによって軽量鉄骨と重量鉄骨があります。柱や梁、デッキスラブなどをデザインとして見せる楽しみもあります。

特に沖縄地方で多くあるのが鉄筋コンクリート造(RC造)の戸建て住宅。RC住宅も大空間が確保できますが、間仕切り壁もコンクリートでできていることが多く、その場合は解体することが難しいので注意が必要です。

 

工事

予算は余裕を持って

良い物件が見つかると、次にあたりをつけないといけないのは工事予算。「あたりをつける」と書きましたが、戸建て住宅の場合は、たとえホームインスペクションをしたからといって明確な工事予算を想定するのは困難です。解体してみないとわからないことが多くあるためです。

 

まずは外回りから!

予算を考える際に、まずは絶対に工事をした方がいいところを洗い出します。戸建て住宅でまず整えるのは外回り(外壁と屋根)。すでに雨漏りがしている場合は早々に調査をして建物内への雨の浸入をストップしましょう。まだ雨漏りはしていなくても、外壁や屋根に傷みが見られる場合は優先して修繕をするのがおススメです。

 

耐震・断熱・・どこまでやる?

築が古い建物を検討する場合に気になるのは耐震や断熱のこと。どちらも、新築と同様にまで工事で引き上げることが可能です。ただし、どちらもそれなりの費用と時間がかかります。優先度が高ければ、きちんと予算を確保して計画に組み込みましょう。気になるところは耐震補強や断熱をしつつ、性能を担保する数字を出すことまでは求めない、という方法もあります。どこまで求めるかを考えて、大まかな予算のボリュームを決めておくと良いでしょう。

 

外構工事も忘れずに

庭やガレージがある場合はそこにかけるメンテナンス費用も忘れてはいけません。意外と費用がかかるのが外構工事。建物の工事とは切り離せるので、将来的に徐々に手を入れていくのもひとつの方法です。

 

着工後のビックリに備える

着工してから雨漏りや構造躯体の傷みなどが見つかっても管理組合が負担して工事を行うマンションと異なり、戸建て住宅の場合は全て自分で修繕する必要があります。どんなに気をつけて調査をしてもわからないことはどうしても出てきます。着工してからの追加工事が百万円単位になることも。また、工事が完了してからしばらく住んでいたら工事していない箇所の不具合がみつかるなんてことも。着工後や住んでからの不測の事態に備えて予算は全て使い切らずに余裕を持って残しておきましょう。

 

戸建てリノベーションでできないこと

マンションに比べると自由度が高い戸建てのリノベーション。では、戸建てリノベーションでできないことって?よく要望をいただくものの実現が難しいことは次の2つです。

 

増築は一定の場合を除いてできない

庭や二階の一部に増築したいという要望をよくいただきます。すでに建ぺい率や容積率に対してぎりぎりの面積で立てら得ているとその上限を超えて増築することはできません。

防火地域や準防火地域では、面積を問わず全ての増築に、それ以外の地域では10㎡を超える増築をする場合は建築確認申請が必要です。時間と費用を覚悟すれば、建築確認申請を行って増築をすることも可能ですが、そこで問題となるのが新築時の検査済証の有無。少し時代を遡ると、新築時に完了検査を受けておらず、検査済証が発行されていない戸建てが多くありました。その場合は新たな増改築の確認申請は受け付けてもらえません。

 

階段の架け替えは構造によりけり

急な階段を架け替えたいという要望もよくいただきます。工事をする建物が木造2階建てであれば、有効な寸法が確保できれば階段の架け替えはそれほど難しくはありません。しかし、木造2階建てではなく、木造3階建て、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の場合、ハードルは一気に高くなります。増築と同様、建築確認申請が必要になるためです。

専門的な知識が必要になるので、建築基準法などの関連法令をよく理解した建築士に相談しながら進めるのが安心です。

 

 

建物の良さを残すリノベーションをしよう

自由なリノベーションができる戸建て住宅のリノベーション。さまざまなことができる一方で、内装も、外壁も、屋根も、耐震補強も、断熱工事も・・とどんどん要望が膨らんでしまうと新築住宅を建てれるくらいの工事予算になってしまいます。とことん自分の思い通りにしたいという人や、建物の機能を最も重視する人であれば、新築の方が良いという判断もあるでしょう。

一方で、古いものと新しいものを融合させたり、思ってもみなかった面白い空間構成ができるのも戸建て住宅のリノベーションの魅力。対象とする建物は古民家のように歴史がある建物である必要はありません。その住まいが元々もつ魅力を残しながら、思い描く暮らしができそう!というときはぜひリノベーションを検討してみてください。そのときは、全部が予定通りにいかないかもしれないけれど、それも楽しんでしまおうというガッツも忘れずに。構造や関連法案など難しいことは私たちがサポートします。

 

気になる物件はまず内覧!

物件資料や写真だけではわからないことはたくさんあります。百聞は一見にしかず。気になる物件はどんどん見に行きましょう。「写真で見ていたらとても素敵だったけれど、実際は思ったより暗かった・・」「期待していなかったけど思った以上に居心地が良かった」など、内覧して感じることはさまざまです。

 

リノベーション向け物件探しのお手伝いをしています。

アートアンドクラフトは一級建築士事務所と工務店であると同時に、宅建業者でもあります。戸建て住宅に関しても物件購入にかかる資金計画から、物件の個別紹介、案内、契約手続きまでトータルサポートしています。これまでも古民家やガレージハウス、アトリエ併設の住まい、二世帯住宅や、小さな街中戸建てなどさまざまな戸建てのリノベーションをお手伝いしてきました。

 

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文:松下文子 Arts &Crafts 取締役副社長

 

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