倉庫兼事務所として使われていた実家。幼い頃に家族で住んでいた時期もあったが、長らく活用できていなかったそう。近くの貸家に住んでいたMさん家族は、両親が1階に住まいを移すことを考えているとを聞き、思い切って二世帯住宅へのリノベーションを決められました。「せっかく使えるハコがあるのにもったいない。」自分たちが過ごしてきた「実家」が「空き家」になってしまう日が来るかもしれない。そんな一番身近にあるストック(既存建物)の活用事例です。
2階の子世帯住居へと繋がる玄関。
廊下には外出前の身支度スペースを確保。オレンジ色の“電動チェーンブロック”は倉庫兼事務所で使われていたものをあえて残した。
鉄骨造のロングスパンと天井高を活かした広がりのあるLDK。廊下の天井高は上げずにLDKから使えるロフトスペースとした。
外部に面した壁と天井部は断熱材を施工し、サッシは全てペアガラスへと入れ替えた。
キッチンの背面収納は可動柱と棚板といったシンプルな作り。黒板塗装と有孔ボード仕様の引き違い戸は扉以上の活躍ぶり。
ステンレス天板の造作キッチン。床面は磁器タイルと悩んだが、水に強く掃除がしやすいビニル床タイルに目地施工を選んだ。
二世帯住宅にするため、2階に新たに作った水回りスペース。
キッズコーナー。ブルーの塗装壁は記念日に大活躍!「写真スタジオの背景のように使っています。」天井は既存のOSB合板仕上げを再利用。
キッズコーナーと寝室の間に設けたw.i.closet。
約9帖の寝室。「子どもが小さいときは皆で寝れるこのサイズがちょうどいい。」とMさん。
モルタル仕上げとも違う特徴的な表情のキッチン腰壁は、硅砂を混ぜた塗装仕上げ。
入居者の声
周囲はエリア的にも新築戸建てを考える人が多く、私たちもよく見学には行きました。けれどどうもピンとこなくて…。両親がこの家に移り住むと聞いて、せっかくハコがあるのだからリノベーションで自分たちの好きなようにできたらと思いました。デザイン的には、格好良くしてくれるという安心感はありました。ただ、予算がある中でメリハリをどうつけるべきか、提案してもらった中から選択するのには悩みました。例えばキッチン周りの作り込みなど。結果的にキッチンの背面収納は引出しのないデザインにして良かったと思っています。
OUTLINE
物件名:M邸
所在地:大阪府泉佐野市
構 造:鉄骨造2階建
築年月:1970年
竣工月:2018年6月
施工面積:約94㎡(2階部分)、外構・外装工事は別途施主工事
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写真:増田好郎
担当者より
鉄骨造ならではの広がりのあるリビングを中心に、ロフトや書斎、キッズコーナーなど小さく籠れる空間を組み込むよう、メリハリをつけてプランニングしました。ぜひ残したいと仰られていた既存の建具や荷捌きクレーンも空間の良いアクセントになっています。家族の気配がいつも感じられる空間は仲良しなMさんご家族らしい優しい雰囲気になりました。(小縣)
STAFF
アーキテクト:小縣恭子
コンサルタント:大村直子
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