WORKS

変化に寄り添う「器」

4人家族のTさん一家。新築住宅の企画営業に携わる夫とデザイン系のプレスや企画を手掛ける妻。「ものは多い方だと思う」と言うTさん。仕事柄出会いが多いだけでなく、好きなものがどんどん変わっていくことも理由のひとつ。そこで、好きなものやライフスタイルが変わっても楽しめて心地よい『変化をフラットに受け入れてくれるのような住まい』をテーマに設計デザインがスタート!グレイッシュな色でまとめた室内は「無機質な印象にはしたくない」というご要望から『天然素材』を積極的に採用。物件購入の決め手となった、3方向窓に面し天井高が4Mという特徴的な空間を生かしたリノベーションで、素材の表情豊かにやわらかく生まれ変わりました。

「ソファに座って見るこの景色がお気に入りです!開放的でとても気持ちがよい。家で過ごしている家族の存在を感じられるのも好きなんです(Tさん)」床にはライトグレー色のリノリウムシートを施工。普段はルンバに掃き掃除も拭き掃除もお任せ!壁天井はローラー漆喰仕上げ。漆喰は鉱物顔料で調色しほんの少しグレーを感じる色合いに。

物件購入の決め手となった4M高のLDK。 この天井高を活かし、お持ちだったニューライトポタリーの照明<Apollo>が映えるよう設計。「在宅の仕事ではダイニングテーブルで作業をしています。夕方まで電気をつけないことが多く、自然光だけで過ごせる時間が長いのは贅沢だなと感じます(Tさん)」

キッチンの前にはキッズスペースを。ロフトは夫の趣味スペースを当初想定していたが、引越後は子どものぬいぐるみやおもちゃの居場所に落ち着いたそう。

「洗面台と曲線の壁にLDKへとつながる扉。この見え方が気に入っています!」とTさん。良い意味で家っぽさがなくホテルライク。玄関からこの景色だと「きちんとしよう」という気持ちになるのだそう。自然光がローラー漆喰で仕上げた曲線壁にやわらかく広がる。

洗面台は縁のない人工大理石のオーダー天板にキャビネット部をラワン合板で造作。木部は自然塗料のオスモホワイトで木目が見えるよう着色している。トイレの扉は壁と一体に見えるよう枠無しとした。

金物は真鍮で統一。扉も壁と同じくローラー漆喰仕上げ。

緩やかにカーテンで仕切られた寝室。長女と竣工後に誕生した次女のふたりのために将来は2室に分ける想定。

広々としたアイランドキッチンは料理好きなTさんが叶えたかったことのひとつ。ダイニングとキッチンの並びは家族と会話がしやすい配置に。「キッチンはひとりではなく誰かと一緒に手を動かせる場所にしたかった。自分が子どもの頃に親と過ごしたように、娘たちと一緒にお菓子作りをするのが楽しみです!(Tさん)」

キッチンも洗面台と同じく人工大理石を採用。シンクと天板がシームレスに繋がる縁なし加工のオーダー品。キャビネットには既製品を取り入れつつ、腰壁や引出し扉の面材にはラワン合板+オスモホワイト塗装で仕上げた。

コンロ側の壁にはマットなホワイト色のタイルを採用。

造作収納兼本棚で緩やかに仕切った土間仕上げのインナーテラス。「家庭菜園でハーブを育てることにもチャレンジしたい(Tさん)」

入居者の声

63平米の室内は、天井高のおかげで数値以上に開放的に感じます。ゆくゆく夫婦ふたりになった時にもちょうどいいよね!と、エリア優先で決断しました。
素材選びでは、普段から食べ物も香料もなるべく身体や環境に良いものを選んでいるように、家でも同じように考えていました。漆喰の壁は光がやわらかくて、何気なく撮った写真も様になるのが嬉しい!ベースが整ったことで、以前よりものを選ぶのは楽しくなりました。
アートアンドクラフトのことは建築を学んでいた学生時代から知っていて「デザイン性だけでなく長く心地よく住みたい」と考えた時に、暮らしに近いところで住空間を考えている人に頼みたいと思って依頼しました。住まいづくりって赤裸々な話も多いけど、心地よく話せたらいいなと。完成形は初めから見えていたわけではなく、手探りだったところをテーマ決めから一緒に考えて形にしてもらいました。打合せでは、キッチンの対面化や浴室サイズを優先することで、細かな寸法のせめぎ合いがあったり、素材や造作の検討ではコストのことなど難しい選択もありました。その都度、メンテナンスのことも含め、パターンを提案してくれたのが良かったです!これが経験値からくる提案の幅広さなのかなと思いました。インテリアはラグをどこに敷こうか、絵はどうしようかとまだまだ考え中。作って終わりではなく、暮らしながらアップデートを重ねて自分にしっくり馴染んでいく感覚。その変化も含めて楽しみたいです!(Tさん)

OUTLINE

物件名/T邸
所在地/大阪市中央区
構 造/SRC造
築年月/1998年
竣工月/2023年2月
施工面積/62.93㎡

*工事費:非公開

写真:衣笠名津美

担当者より

誤解を恐れずに言えば、施主の要望通りにそのまま形にするのは簡単なことです。無垢フローリング、インナーサッシ、トイレの位置を大きく移動すること・・これら当初の要望通りにそのまま提案することが今回は正解だとは思いませんでした。暮らし方や好きな空間、大切にされているものの話を伺い、「要望の本質はなんだろう」と、とことん向き合った案件。シンプルな操作こそが、魅力を最大限に引き出す鍵となりました。さまざまな料理を引き立たせる器のように、暮らし始めて、初めて生きる空間です。(芝山)

STAFF

アーキテクト:芝山明日香
コンサルタント:岡本典子

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