1960年築の上本町のレトロビル。もとは事務所兼倉庫兼住居の自社ビルでしたが、時代の流れとともに、余剰空間が生まれ、十分に有効活用が出来ていませんでした。オフィスビルを新築することも検討しましたが、オーナーが選んだのは、街に開かれた複合テナントビルに再生すること。建てられた当時から住まいと仕事場、両方の役割を担ってきたこのビルの”職住一致”の使い方を継承し、「働く」「食う」「寝る」「集まる」「つくる」のコンセプトの下に生まれ変わりました。
外壁修繕や植栽工事は街に溶け込んだ往時の雰囲気を残しながら行った。
電気、ガス、給排水等のインフラ設備と外壁、屋上の防水層を更新し、10年、20年先までがんばれるビルに。屋上と1階外構部分は植栽工事も行いました。 そして各フロアの企画と内装設計。 ビルの顔となる1階の一部は飲食店舗区画に。 2階に自社使用オフィスと賃貸住居を集め、3階はデザイナーやフォトグラファー等、クリエイティブワーカーが集まる賃貸オフィスフロア。様々なテナントのニーズに応えられるように10平米から94平米まで大小様々な区画を用意しました。 4階は各種イベントが開かれるオーナーのプライベートサロンとして計画しました。
ラウンジよりエントランスを眺める。約28平米のラウンジは入居者が自由に使える空間。主に小区画の賃貸オフィスの入居者が打合せ等に利用している。
出来る限り既存の内装を再利用することを心がけた。
104号(18平米)は小さいながらも、天井が高く閉塞感を感じない空間に。
105号(90平米)は倉庫だった空間のボリューム感をそのまま活かした。オーナー運営のギャラリーとなる予定。
201号室の自社使用オフィス(138平米)。柱・梁・天井はコンクリートの素材感を残して塗装仕上げ。執務スペースはナラの無垢フローリング。
来客用兼社員用のオープンキッチンを備えたカフェコーナー。事務所の隅で眠っていた古い家具を壁面収納として再利用している。
共用部。元倉庫ゆえの無骨な雰囲気はそのままに、ガラスのパーテーションや木の造作など、新設した要素とのコントラストを意識したデザイン。
清潔感のある共用設備も重要なポイント。
305号・306号は寝泊まりできる設備付きの賃貸オフィス区画(45平米)。既存の吹付断熱材をそのまま見せた天井や躯体現しの床といったラフな仕上げがユーザーにも支持された。
水廻り設備を空間の中央へ集約したコアプラン。
302号(22平米)は「自分で空間をつくりたい」というクリエイティブワーカーのニーズに応えられるよう、一部の壁をカスタマイズ可能な合板仕上げに。
303号は3面採光と白塗装の天井でー段と明るい空間に。カメラスタジオが入居した。
ウッドデッキと芝生に青空がよく映える屋上。休憩時や昼食時など、入居者が自由に使える。共用部の充実は物件の差別化にも寄与。
4階プライベートサロン、テラス。元はペントハウスの会議室だった。
担当者より
「代々この街で商売をしてきて、最近ちょっと街に元気がないように思う。駅前には大きな商業施設が出来て、タワーマンションも増えてはいるが、それだけじゃなんか面白味に欠けるんじゃないだろうか。新たな人を街に呼び込み、情報発信と出会いの場になり、街に貢献できないだろうか」オーナーのそんな熱意を叶えるには、昔からそこにある重厚感あるレトロビルのリノベーションが最適なように思いました。築50年を超えるビルに少なからずの投資をして、本当にテナントが埋まるのか。レトロビルの再生事業には勇気が必要です。しかし、商品コンセプトと改装デザインが想定するターゲットと合っていれば古さはむしろ唯一無二の魅力にすらなり得ます。食通が通う有名シェフのレストラン、感度の鋭いクリエイティブワーカーが集まるオフィス、各種イベントが開催されるサロン。オーナー運営のカフェやギャラリーも近日開設予定で、今後も上本町から目が離せそうにありません。
OUTLINE
物件名 /錢屋本舗本館
所在地 /大阪市天王寺区
構 造 /RC造(増築部S造)4階建 延床1070.13㎡
築年月 /1960年
工事費 /(企画設計監理費+工事費)1億150万円(税別)
*大阪R不動産で入居者を募集しました
STAFF
コンサルティング担当:小野達哉
設計監理:枇杷健一
施工:アートアンドクラフト
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