民藝品の器や本など、お気に入りのコレクションで溢れた I さんの住まい。子供が産まれることになり、大量の器をどうするか夫婦で悩んでいたことが住み慣れた家のリノベーションを決断するきっかけになったというIさん。緑豊かな公園や寺社が多く、ディープな下町色も残した天王寺エリアにマンションを購入したのは7年前。「広い開放感のある空間」と「器と本が一望できる収納」を2本柱として設計を進めました。
分散していた本棚を一つに集約、一望できるよう壁一面の棚を造作。以前より読みたい本が目につくように。本を選び窓辺のハンモックで読むのが至福の時間。
長さ3.6mのステンレス天板で仕上げた大きなキッチンをリビングの中心に。料理やうつわ選び、片付けまでの一連の動線がスムーズに。キッチン横は家事空間として活用し、真鍮製のランドリーパイプを取り付けた。「ステージが一段上がって周りを見渡せること、キッチンを挟んで家族と話しながら作業できるところが気に入っています。」(Iさん)
キッチン下に設けた器コレクションの収納棚は、収納するうつわごとに奥行きを変えて造作。以前より出番が増えた器も多い。
各地の窯元をめぐりながらコレクションした民藝の器たちがならぶ。「沖縄の陶器に惹かれ集め始めた頃から推しはずっと照屋佳信さん、登川均さんのやちむんです」(Iさん)
モルタル仕上げとした窓辺のインナーテラス。冬は日当たりのよい窓辺にたくさんの植物を並べる。アデニウムやコウモリランなど珍しい造形の植物も多い。カーブした床のラインは Iさんのスケッチから設計。
大きなRの開口の前には有孔ボードを設置。ガーデニング用具や掃除道具を吊り下げている。
玄関前にしつらえた有孔ボードの壁には、毎日使う鍵やバッグを。外出前後の身支度をスムーズに。
お気に入りの鉱石コレクションがぴったり収まるショーケースを玄関前に設けた。
収納棚でゆるく仕切られたフリースペースは、程よいおこもり感が落ち着く。赤ちゃんのお昼寝スペースや在宅ワーク時の作業空間としても活用。
フリースペースからは収納棚越しにほどよく視線が抜ける。
ベビーカーがそのままスムーズに入れられるように、玄関スペースを拡張した。
コンパクトな洗面スペース。収納は扉がわりに左右にスライドするミラーを造作した。
入居者の声
設計中は、自分たちの暮らしにとって何が大事なのか、どんな家に住みたいのか考え抜き、それが図面に落として込まれていくことに毎週興奮していました。
アートアンドクラフトさんは、こちらのやりたいことを柔らかく受け止め、最終的には全体をコーディネートしてくれました。
家に合わせて生活するのではなく、自分たちの暮らしに家を合わせるということでこんなにも暮らしは快適になるのだと日々実感しています。
これからは親子で本を読んだり一緒に料理を作ったり…楽しみがたくさんな住まいになりました。
OUTLINE
案件名:I 邸
所在地:大阪市
構 造:RC造
築年月:2003年6月
竣 工:2021年
施工面積:90.48㎡
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*工事費:非公開
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写真:平野愛
担当者より
設計打合せでは、スケッチや細かな寸法が検討されたメモをお持ちいただき、お2人の暮らしへのこだわりが強く伝わってきました。そして見事な民藝の品々や鉱石、本や観葉植物などのコレクションたち!ひとつひとつに物語があり、それらを本当に嬉しそうに話してくれた Iさん。そんな「推し」器の話はいつまでも聞けます。コレクションそれぞれの居場所をつくり、光を当てることで、Iさんらしさの詰まった豊かな住まいができました。これからまた、どんな物語が重ねられてゆくのか楽しみです!(小縣)
STAFF
アーキテクト:小縣恭子
コンサルタント:上原にいな
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