沖縄県は1972年に本土復帰し、1975年には沖縄国際海洋博覧会が開催されました。輝かしい出来事とは裏腹に、本土復帰前後から建築ラッシュに沸き、十分に塩分が除去されていない海砂がコンクリートに使用されていたケースもあり、そうした建物が今まさに危険な状態に陥っています。施主は父親から本建物を相続され、1階が自宅、2-3階は6戸のワンルーム賃貸住戸でした。前述のとおり、本建物も構造躯体の劣化が進行し鉄筋の露出やコンクリートの剥落が散見される状態でした。
左:改修工事前の状況/右:劣化したコンクリートの除却
本プロジェクトでは、今後数十年以上安心して住み続けられるよう、アラミドシートを用いて躯体補修・補強を行い、電気、ガス、給水のインフラ設備も一新しました。また、1階部分は一部減築を行い駐車スペースを新設し、賃貸住戸は競合の多いワンルームを避け、安定した入居が望めるファミリー層をターゲットとした住戸へとリノベーションしました。
賃貸フロアとした2階住戸
LDK
水回り
オーナー住戸
LDK
玄関
共用部
外観
共用階段
共用廊下
屋上
減築して新たに設けた駐車スペース
担当者より
沖縄県は気候風土の特性上、本土と比べると小規模な建物でも鉄筋コンクリート造の割合が多くを占めます。鉄筋コンクリート造の建物は適切に維持管理を行えば100年以上持つと言われていますが、建築時に不適切な材料が用いられていたり、メンテナンスを怠れば数十年で劣化が進行してしまいます。木造と比較すると解体費が多分に要すため、危険な状態のまま使用、放置されている建物が少なくありません。そうした建物も適切なリノベーションを行えば使い続けられることを示せる事例になりました。
OUTLINE
物件名 / PORT APARTMENT
所在地 / 沖縄県那覇市
構造 / 鉄筋コンクリート造3階建
築年 / 1971年
リノベーション / 2021年
改修前用途 / 共同住宅
改修後用途 / 共同住宅
STAFF
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