リノベーションの際にご要望をいただくことが多い、無垢フローリングや漆喰、リノリウムなどの自然素材。素材本来の質感があり、心地よく、空間に魅力を与えてくれます。その一方で、少し気をつけないといけないことも。自然素材の採用について知っておきたいことをまとめました。
記事の著者
松下文子
Arts &Crafts 取締役副社長
大阪府生まれ。大阪市立大学生活科学部居住環境学科を卒業。不動産デベロッパーを経て、2014年にアートアンドクラフトに入社。不動産の知識を活かし、自分らしい住まいづくりのコーディネートをしています。二級建築士/宅地建物取引士。
目次
分譲物件に自然素材が使われないワケ
ところで、一般的な分譲マンションや建売住宅、賃貸住宅で自然素材が多用されているものがあまりないのは、どうしてだと思いますか。実はそこには建物を供給する側の事情が絡んでいるのです。
例えば、無垢フローリングの場合、以下のような理由で採用が嫌がられます。
・ 色や木目などが物によって異なること。
・ 季節によって伸縮するため、伸縮を見越して施工する必要があり職人の技術が必要なこと
・ 乾燥する季節などは木材が収縮し、隙間ができること
・ 時間が立つと色が変化すること
そこで、誰でも施工が可能で、均質でクレームが出にくい新建材(ビニル系素材など)が採用される事がおおくなっています。魅力ある素材を、クレームがあるかもしれないからという理由で採用しないのは、なんだかもったいないですよね。リノベーションをする際など、自分で素材を選べるときにはぜひ、特徴を理解して採用したいものです。

リノベーションで人気のある自然素材
ではここからは、リノベーションでよく採用する自然素材をその特徴や注意点と合わせてご紹介していきます。
無垢フローリング
無垢フローリングの魅力
リノベーションの打合せで採用のご要望を一番多くいただくのが無垢フローリングです。自然素材本来の質感があり、手触りが良く裸足で歩くと本当に心地いい素材です。樹種によって色や木目も様々なので選択肢が豊富なのも嬉しいところ。広い面積に貼っても、自然の木目で空間が単調にならず、魅力的な表情を出してくれます。
経年で色が変わったり、傷がついても味として楽しめるのが無垢フローリングの最大の魅力。どんどん、味を出していきたいという方には、柔らかめの針葉樹がおすすめ。あまり傷がつくと気になるな、という方には広葉樹がおすすめです。住み始めてから何年も経って、傷みが気になるようになったら数ミリ削ることもできるので、その点も魅力のひとつです。

無垢フローリングの注意点
一方で、少し注意点も。木材なので水に濡れたままになっていると、色が変わったり傷んでしまうことも。なるべくすぐに拭き取るようにし、キッチンや洗面廻りでの採用には注意が必要です。また、無垢フローリング自体には防音性能がないので、遮音規定のあるマンションの場合は防音床組の上に施工する必要があり、スラブより7cmほど床を上げる必要があります。
床段差をつくりたくない場合、水ハネが気になる場合などは、他の素材を採用するほうがよいかもしれません。ビニル系の素材よりも素材自体の価格が少し高く、施工にも手間がかかるので他の素材も組み合わせることは予算のコントロールにも繋がります。
木仕上げの壁・天井
木仕上げの壁・天井の魅力
壁や天井にデザインのポイントとして、木材を貼る場合もあります。突板やベニヤ板の他、一定間隔で溝の入ったピーリング材、複数の穴が空いた有孔ボード、リブパネルなど、種類もたくさんあり採用されている木材によっても表情が異なります。
また、最近人気なのは、もともとは下地材であるラワンベニヤを壁に貼る仕上げ。独特の色味と木目が人気の理由です。

木仕上げの壁・天井の注意点
注意点は、無垢フローリングと同様に水には強くないこと。そして、日焼け等で色が変わってきます。また、木によって色味や表情は異なり、特に元々が下地材であるラワン材などは基本的には納品されるまでどんなものが来るかわかりません。赤みがかったもの、黄色っぽいものなど色味も大きく異なるので、どんなものが来るか楽しむ気持ちで待ちましょう。
表面が木仕上げになっていると、釘などを打っても大丈夫なように思えますが、仕上材として貼る材はそれほど厚みはないので、後から棚などを付けたい箇所には下地を入れる必要があることも覚えておきましょう。
珪藻土・漆喰
珪藻土・漆喰の魅力
室内の左官材として採用される、珪藻土や漆喰。見た目は似ていますが、原材料が異なり昨日にも少し違いがあります。珪藻土は、海や湖、河川などに多く分布する「珪藻」という藻類の遺骸が、化石となって海底や湖底に堆積した粘土質の土に、切開や樹脂などを混ぜたもの。調湿性が大きいのが特徴です。柔らかく、ザラザラとした質感で色や塗り方などによって豊富なデザインが楽しめます。
一方、漆喰は消石灰を原料とする左官材。珪藻土ほどではないものの調湿効果があり、色は基本白のみですが塗り方によって表情が変えられます。

珪藻土・漆喰の注意点
調湿効果が高いことと、風合いが魅力の珪藻土ですが、素材自体が柔らかくて剥がれやすいのがデメリットです。また、水には弱く、水がかかると染みができたり、カビが生えてしまうことも。換気やお手入れに気をつける必要があります。
一方、漆喰は珪藻土より固く、丈夫な素材。ただし施工が難しく工事費用は高くなります。カビには強いですが、乾燥収縮や建物の揺れ等によりひび割れが起きやすい素材です。
コルク
コルクの魅力
コルクと聞くと、一番に思い出すのはワインの蓋のコルクでしょうか。実は建築内装材にもコルクはあります。内装材で使われるコルクはワインの蓋よりも丈夫に作られていて、コルクタイルやコルクフローリングは床材に、コルクシートは壁や天井に使われます。断熱効果、吸音効果があり、サラッとしているので裸足で利用する洗面所などにもおすすめです。

コルクの注意点
コルクの注意点は、日焼けで色が抜けやすいこと。直射日光が入る窓際などでの使用は控えたほうがベターです。また、張替えの際にきれいに剥がすのが難しく、劣化した場合は張替えではなく上張りで対応する場合もありますので注意が必要です。
サイザル麻
サイザル麻の魅力
サイザル麻は、実は麻の仲間ではなく、リュウゼツランの仲間の「サイザル」という植物の繊維を織ったもの。耐久性があり、天然素材の風合いと手触りが心地よい素材です。よく、バッグなどでも使われています。建築内装材では、寝室などに採用することが多い素材です。

サイザル麻の注意点
強くて使いやすい素材ですが、凹凸があり、汚れが取れにくいと気にするひとも。色はロットによって多少異なりますので、その点を理解して採用しましょう。
リノリウム
リノリウムの魅力
塩ビタイルに見た目が似ていますが、実は天然素材からできているリノリウム。主原料は亜麻仁オイルで、石灰岩や木粉、松脂を混ぜ合わせ、天然色素で色をつけてからジュート(黄麻)を裏打ち材として成形しています。
製造に手間がかかり施工が難しいリノリウムはだんだんと姿を消し、現在は日本国内では生産されていませんが、最近はそのサステナブルな魅力が見直され、採用されることが増えています。大きなメリットはその強さとメンテナンス性の良さ。また、それ単体で殺菌作用があり、病院などでもよく採用されています。

リノリウムの注意点
まずは、アルカリ性に弱いこと。住宅の洗剤の多くはアルカリ性なので、使用する洗剤は要注意です。また、人によっては亜麻仁オイルの匂いが施工してすぐは気になる方もいるようです。その他、海外からの輸入に頼っているので在庫の確保を早めにする必要もあります。また、単体でも効果な素材で、施工手間もかかるるので広い範囲に採用する際は工期と予算にも注意が必要です。他の床材と組み合わせながら採用範囲を考えたいところです。
素材のばらつきや経年変化を楽しもう
自然素材を楽しむコツをいくつかご紹介していきます。まずは素材のばらつきさえも楽しんでしまうこと。自然のものなので色や模様、形などにばらつきがあるのは当然のこと。それも含めて風合いを楽しんでしまうのがポイント。また、納品されるものの色味など選ぶことはできませんが、それも出会いとしておおらかなきもちで迎えることが大事です。
時間が立つと日焼けなどで色が薄くなったり、逆に濃くなっていく素材もあります。それも自然のものとして楽しみながら、自分の暮らしになじませていきましょう。
うまく使い分ける
汚れがつきやすいところなどには自然素材の採用を避け、お掃除のし易い新建材を使うなど、うまく使い分ければお手入れにはそれほどストレスはありません。複数の素材を組み合わせるのは空間にメリハリが出て、コストコントロールにも繋がります。ここぞ、というところには自然素材を、など、バランスを考えて採用しましょう。
お手入れ方法を確認しておく
どんな手入れが必要なのか、事前に確認して暮らしの中で無理のない範囲でお手入れをしながら長く楽しみましょう。
素材の採用に慣れている会社に依頼する
季節や経年で変化することが前提となる自然素材。種類によっては施工の際にひと工夫が必要なものも。その素材をよく採用している会社に工事を依頼するようにしましょう。

アートアンドクラフトでは自然素材を使ったリノベーションを数多く手掛けています。
こんな素材使えるかな、こんな雰囲気にできるかななど、まずはお気軽にご相談ください。
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