
大阪メトロ谷町線でひときわ輝く駅名、四天王寺前夕陽ヶ丘。
谷町線に乗る時は、shi-ten-no-ji-ma-e yu-hi-ga-o-ka の英語アナウンスを一番楽しみにしていると言っても過言ではありません。
皆さんは、この駅で降りたことがありますか?
今日は、名前の輝きに反してちょっと影の薄い(かもしれない)この駅を起点に、めくるめく旧世界へお散歩してみましょう。
四天王寺とその参道
四天王寺前夕陽ヶ丘駅の2号出口を出ると、府道を挟んだ向かいにお寺が見え、左に進むとお寺に、右に進むとお寺に行き当たります。やたらめったらお寺が多く、否が応でも心が落ち着きます。真打ち四天王寺に向かうには、4号出口が近いです。
ちなみに1号出口は円形のコンクリートとガラスブロックが格好いいです。
言わずと知れた四天王寺。
毎年「七夕のゆうべ」というお祭りが開かれ、境内がパンパンになるくらいの人が来ます。笹の葉に短冊をくくりつけてお焚き上げしてもらう、夏の始まりを告げる行事です。
毎月21、22日には参道にたくさんの露店が並び、境内では関西最大級の骨董市が開かれます。約300〜500店舗が出店しているそうです。信じられますか?天王寺区のど真ん中で、毎月そんな面白いことが起こっているんです。
面白いのはなにもお祭りのときだけではありません。四天王寺から南下していく旧熊野街道には老舗が並んでいます。丼もの屋さん、お蕎麦屋さん、和菓子屋さん。有名なのは釣鐘まんじゅうや亀カステラでしょうか。比較的新しいカフェや八百屋さんもありますし、線香・ろうそくの専門店があって、どこからともなくお線香の匂いがしてきたり。
せっかくなので、3つお店を紹介しましょう。
・「虹の仏」
食べログのカレー百名店に選ばれたこともあり、いつも開店前から行列ができています。
この日は並ばずに入れたので、いただきました。出汁カレー。

本格的なインドのスパイスカレー
・「ブーランジュリーパリゴ」
これでもかというくらい多彩なパンがびっしりと並んでいます。毎日通っても飽きなさそう。こちらも、食べログ百名店に選ばれたことがある人気店です。
・「cream」
マンションの1階のちいさな区画に、魅惑的なアイスクリーム屋さんを発見。吸い込まれるように入ると、ドライフラワーの匂いが胸いっぱいに飛び込んできます。
ねこの置物がまどろんでいました。本物のウサギの毛だそう。こちらのお店は夏季限定で、今年も10月までしか空いていません。夢みたいなお店。
大阪市内有数の都市公園・天王寺公園
大阪市内の公園として、鶴見緑地、大阪城公園、長居公園に続いて面積の大きさを誇るのが天王寺公園。天王寺公園の「てんしば」の有用性、みなさんご存知でしょうか。
都会を歩いていると、何も消費しなくても佇める空間というものは希少です。日本の都市では公園の少なさがしばしば指摘されますが、ふと休みたい時、カフェに入るしか選択肢がないというのはなんてつまらないことだろうと思います。
てんしばでは、なーんにもしなくて大丈夫。芝生に寝っ転がって、隣のテニスコートでもぼんやり見つめていましょう。とはいえカフェに入ってもいいですし、動物園に行っても、美術館に行ってもいいです。あまり知られていませんが、慶沢園という庭園もあります。動物園の横を抜けると、新世界に出ます。実は、四天王寺前夕陽ヶ丘の駅から通天閣まで、歩いて15分ちょっとの距離なんです。
天王寺公園では時折イベントが開かれ、近いところではオクトーバーフェストも開催されますよ。青空、ビール、ソーセージ!下戸でも空気で酔えそうです。
「夕陽」ヶ丘の由緒
冗談ではなく、夕陽ヶ丘は本当に夕日が綺麗です。高台だからでしょうか。四天王寺の石の鳥居越しに見る夕日は本当に美しく、夕陽ヶ丘の地名にはっとさせられます。これは個人の感想でしかなかったのですが、記事を書くにあたって調べていたら、四天王寺では本当に「日想観」という夕日を拝む法要があるそうです。
「四天王寺の西門石鳥居は、古来より極楽の東門にあたると信じられてきました。」
▶️日想観について
やっぱり、いい地名ですね。
四天王寺前夕陽ヶ丘のいいところは、梅田、なんばに次ぐ大阪の大都市・天王寺のほど近くにありながら、旧街道の古いまちなみが残り、お寺や公園がたくさんあってゆったりした時間が流れているところです。少しでも伝わっていますでしょうか、この魅力!
以上、四天王寺前夕陽ヶ丘の素敵な話でした。今回紹介したのは天王寺区の南半分にあたる地域です。天王寺区に住んでみたくなった方は、下のリンクから。
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文:山﨑 博子(アートアンドクラフト)