ライブラリーと各々のテリトリー

たくさん資料を集めたり動画を見たり、イメージを膨らませるのは楽しかった反面、収拾がつかなくなりそうでまとめるのに苦労しました。最終的には「全てを詰め込むのではなく、希望の大枠だけ伝えて、あとはお任せしよう」と腹を括りました（笑）実際に竣工したとき、大きな驚きはありませんでした。これはむしろいい意味で、図面や打ち合わせを通じてイメージのズレを最小限にしていただいたおかげだと思います。
アートアンドクラフトさんは具体的な要望よりも、むしろ概念（コンセプト）を伝えて自由演技をしてもらった方が上手くいく。その結果、自分たちの想像を超える提案で、コンセプトをいわば「リ・コンセプト」してくれるのだと感じました。住んでから手を加える余白も残してもらえたので、住んでからの変化も楽しみながら暮らしています。

「いま、何冊の本をお持ちですか？」山積みの本を整理するところから打ち合わせはスタート。文庫本、雑誌...サイズごとに仕分けてボリュームを把握したところ、結果はなんと約7000冊！こりゃすごい！さて、どこにしまおう。
蔵書の配置と暮らしのゾーンとの関係性、「変わった間取りが好き」「いつか小さな本屋を開くかも」というUさんのお話に思考を巡らせて、玄関とライブラリーを一体化させた空間をご提案しました。以前のご自宅はどこもかしこも本で溢れ、「リビングだけはスッキリしたい！」という奥さまのご希望がありました。今では「リビングからガラス越しに少し見える本の風景がなんだかいいんです。」とお話を伺えたとき、なんだか嬉しく思いました。（西面）