WORKS

生活感のない、推し活暮らし

米軍関係者向け賃貸、通称“米賃(ベイチン)”。家賃収入が高く、沖縄では人気の投資対象です。もともとアメリカ人の生活様式に合わせて設計されたアパートの一室で、メインバスルームとは別に主寝室にもバスルームが備わるなど、米賃ならではの間取りが特徴でした。その100㎡を超える空間を自邸として贅沢にリノベーション。 目指したのは「余白とストレートで魅せる整然とした暮らし」。将来的に、再び投資物件へ戻す可能性も見据え、プランや内装を選定しています。
一見すると生活感を感じさせない住まい。けれどその奥には、この物件ならではの広さを活かしながら、“好き”がたっぷり詰まった、推しと真剣に向き合う空間が広がっていました。

スケールの大きな家具がこんなにもゆったり並べられるのはこの贅沢な広さがあってこそ。「できるだけ凹凸をなくしたい」という要望からエアコンは折り上げ天井に収めた。

リビングに静かに響くのは、心地よい振り子時計の音。亡き祖母の自宅を長らく見守ってきたもの。

2列型の造作キッチンと大容量のストックルーム。生活感が出ないよう、家具家電・食器に至るまでこの空間に収まっている。

シンプルながらもタイルの素材感で空間に贅沢をプラス。

時には調光して、ムーディーな雰囲気を演出できるのも間接照明ならではのお楽しみポイント。

向かって左から、玄関・パウダールーム・寝室へとアクセス。天井いっぱいの高さの建具が並ぶ。

天然石を薄いシート状に加工した「ストーンベニア」を採用したポイントウォール。二つとして同じ表情のない自然素材がこの空間の顔に。

玄関からLDKへのアクセスは透明ガラスで眺望への抜けを意識。廊下収納もたっぷり確保。

メインの水回りは、後の展開も視野に入れ、幅広の洗面器に水栓を2つ。バスタブ付きのゆったりバスルームを配置した。

そして…漫画や書籍が整然と並ぶ圧巻の書庫スペース。その本の数、約3,000冊!表紙を見せて並べるのもIさんならではのこだわり。今はまだ空いた棚も、趣味の品々でこれから見る見る埋まっていくだろう。

正面には自宅での作業スペースを兼ねたお籠もりスペースも。

マットレスを敷く小上がり、ベッドヘッドとしての役割も果たすゆるい間仕切りは造作した。

間仕切りの反対側はWIC、生活感はバックヤードへ。

メインとは別にもうひとつの水回りが寝室に。

米賃物件ならではの間取り構成。

入居者の声

不動産業としてオーナー様のこだわりの物件を多く見てきました。自身の住みたい家のイメージはハッキリあり、「ホテルライク」「生活感がない」「直線的」そして「趣味に囲まれた壁面本棚」という要素でプランをお願いしました。将来的な賃貸を考慮しながらも好みを詰め込んだ素敵な住宅となりとても満足しています。特に提案頂いた壁材は室内に重厚感が増し、見えない収納(ベッド裏のクローゼット)の案には驚きました。「趣味に囲まれる生活」と「生活感がない空間」という真逆のコンセプトに対して、保管場所を集約し、表の落ち着いたリビング・裏のライブラリースペースを仕切らずに通り抜けできるという理想の形で提案いただけました。
打合せのたびに理想に近づいていき、生活をイメージしながらの家具選びも楽しみながらできました。日々好きが詰まった快適な生活を送っています。

OUTLINE

物件名/I邸

所在地/沖縄県沖縄市

構 造/RC造

築年月/2005年

竣工月/2024年12月

施工面積/132.37㎡

担当者より

既存の空間で満足してないところ、好きな内装、リノベーション後の生活のイメージをはっきりお持ちだったIさん。そのイメージにズレがないよう、間取りの提案とともにパースを用いて打合せを進めていきました。お引き渡し後の完成したお部屋を拝見して、イメージ通りの生活ができている様子が伺えました。趣味を楽しむ大容量の本棚空間、これからどんなコレクションが増えていくんだろうと、私も楽しみです。

STAFF

アーキテクト:李麻生

コンサルタント:森岡瑞穂

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