2017年4月 のアーカイブ

【ニッポンの住】「職場と住まいの位置関係」

2017年4月29日 土曜日

text=中谷ノボル(Arts&Crafts 代表)

フリーハンドという社内制度を始めた。原則、勤務場所と勤務時間が自由という、一昔前なら夢のような制度だ。営業時間中は携帯やSkypeで連絡がとれる状態にしなければならないが、自宅やカフェや旅先で仕事してもいいし、その時間帯も自分で決められる。これをいきなり始めたわけではなく、一部社員で短時間労働や在宅勤務を4年ほど試し、またリモートアクセスやweb会議などIT技術を数多く採り入れた結果、今春より発動できるようになった。

この制度で働くと色々と意識改革を迫られるが、きっと職場と住まいの位置関係も見直すことになる。職があるところに人は集まるので、東京や大阪など企業が集中する場所、そしてそこに通える通勤1時間圏内の都会に人口が集中する。しかし、週に5日通うのは大変だが、フリーハンドで1、2度の通勤なら、住まいの選択肢を2時間圏内に広げていいかもしれない。都会大好きな人なら構わないが、もっと緑と太陽を的な人なら、都市近郊の自然豊かな土地も視野に入ってくる。

早速、淡路島の民家をDIYして引っ越した建築士がいる。彼女は普段自宅で設計業務と子育てをし、打合せと呑み会のときだけ船と電車を乗り継いで現場や事務所へ赴く。早ければ1時間半、乗り継ぎが悪いときでも2時間で着くらしい。ちなみに淡路島と明石を結ぶ船は通勤時間帯なら20分に1便の頻度であり、島へ帰る最終便は23:40と結構遅い。2時間圏内だと、他に丹波篠山や白浜、琵琶湖の湖北まで可能かも? 考えているだけで楽しくなってくる。

全労働者の中で週1日以上在宅勤務をしているというテレワーカーは、まだ3%ほどしかいないらしい。しかし興味を持つ労働者は多く、人材確保やコスト削減の面から在宅勤務を採用すべきと考える経営者も増えている。10年後、20年後には、都心のオフィスで働く人は劇的に減り、在宅勤務が一般的な働き方になっているかもしれない。平日を自然豊かな場所で過ごし、週末だけ都会へお泊まりで遊びに行く。そんな逆転現象なライフスタイルも増えていくのだろう。

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船の通勤は旅感満載! 写真は船上から見る神戸の街なみ ちなみに片道500円

特集「あなたの部屋、見せてください!」〜番外編〜

2017年4月21日 金曜日

2015年に掲載した谷六のヤバい小屋という物件を覚えていますでしょうか。

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▲掲載時の様子。今回訪れると隣地の空き地には建物が建っていました。

むき出しの構造体や現役のリフトがアーティスト心をくすぐる、まさに”素の状態”という言葉がふさわしい物件。

この場所を借りてくださった美術家・中島麦さんのオープンアトリエにお誘い頂きスタッフ3人で遊びに行ってきました。
果たしてあの倉庫をどのように使ってくれているのか…胸を高鳴らせながら路地の奥へ。

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▲夕暮れの路地奥にたくさんの人。

扉をくぐると想像以上にアーティスティックな空間が!
3.6mの天井高を存分に活かして絵の具やイーゼルが並べられていました。
脚立の掛け方ひとつにも工夫が凝らされていて感心するばかり。

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▲壁一面に仕事道具がズラリ!

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▲直接ペイントが施された床

冬は底冷えするそうですが夏の暑さはマシだとか。とは言えエアコン無しで過ごせるのはプロ根性によるものなのでしょうか。

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▲2階からリフトを見下げる。油断すると落ちそう。この日はリフトがテーブルになっていました。

空いていた物件が最大限に使われている様子は建物に命を吹き込まれたようで嬉しくなります。

オープンアトリエは3日間のみの開催だったのですが、4月23日(日)まではアトリエ近くのギャラリーで展覧会を開催されているので中島麦さんの作品を見に行けます。お近くの方は是非。
http://plus1art.jp/No17WM.html

こんな倉庫に、また出会いたいなぁ…。

(萌)


【ニッポンの住】「マンション管理もリノベーション!」

2017年4月20日 木曜日

text=中谷ノボル(Arts&Crafts 代表)

「マンションの管理サービスって、もう少しマシにならんか!?」
住宅業界で働きだしてから長年ずーっとそう思ってきました。

何十、何百の多世帯で住んでるのに、その状況を上手く生かせてないのです。
滅多に使わない家電などはフロントで貸してくれれば家の中のモノは減らせるし、
フロントに小さなコンビニでもあれば冷蔵庫はもっと小さくて済む。
せっかくの集合住宅なのに、ぜんぜん「シェア」できてないと思います。

また、廊下など共用部は掃除してくれるけど、家の中の掃除は頼めない。
特に都市部は小家族化で、今やカップルの共働きやひとり住まいが過半数、
清掃やシーツ交換等ちょっとした「家事代行」を望む世帯も増えているはず。

これまではマンションの管理といえば建物のメンテが業務の中心だったので、
ロビーに座ってるのは作業着の定年退職したオジサンが定番でした。

でも求められる管理も移り変わり、ハードよりソフト面が重要になってます。
今後は、ハイクラスなホテルがタワーマンションの管理を受託競争したり、
美味しいパンを出すカフェが1階に入居して管理まで担うとかも起こりそう?
異業種からの参入で、マンションはまだまだ進化するかもしれません。

ホテル運営もしてるアートアンドクラフトがマンション管理始めたらどうなる?
私たちもちょっとマジメに考えてみます!

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タイの分譲マンション。クアラルンプールやバンコクなど東南アジアの大都市には、ジムやプールまで付くサービスアパートが数多くあります。


コラム【ニッポンの住】次回もお楽しみに!

ACB special issue 特集「あなたの部屋、見せてください!」②

2017年4月15日 土曜日

ACB最新号の冊子では伝えきれなかったエピソードをお届けする
スピンオフ連載。“何でその物件選んだの?”とみんなが不思議がっても
私はココが好き!今回はそんな個性派物件に入居された2組をご紹介します。


連載第2回 YES!マイノリティ
十三=飲み屋街、そんなイメージを覆すかのような不思議なかわいさを放つ古着屋egchさん。
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「完成されたオシャレな街は苦手なので、十三のカオスな感じがイイと思っています。商店街も活気があるし。」
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▲十三の夜の顔と昼の顔。egchさんで買物をした後、商店街の物価の安さにびっくりし、思わず野菜を買って帰った方もいるんだとか。

入居したのはレトロビルの2階。
家主さんはとにかくこのビルを面白く使ってくれる人に入って欲しい、と改装自由で入居者を募集していました。
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▲茶色いタイルがいい味を出している古ビル。入居時に窓ガラスも透明に交換して外から様子が見えるように。

以前は中崎町で路面店を構えられていましたが、「(十三に移転してきて)古着屋巡りをしてるお客さんに偶然発見されることはなくなりましたけど(笑)今はこの場所目掛けて来てもらって『ここにこんな世界があったんや』と発見してもらいたいと思ってます」
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▲お店が狭くなり置けるものが限られたことで逆にフレッシュさを保てるようになったそう。芝が敷かれた床やペイントが施された壁面は不思議の世界に迷い込んだ気分に。

十三の自由な雰囲気とそれに呼応するかのような自由なビル。
映画好きな方は十三のミニシアター第七藝術劇場とセットで遊びに行くのも楽しそうです。

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古着屋 egch
http://egch.hatenablog.com/
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大阪R不動産「ジュウソウはジユウだ〜!」*現在満室です
http://www.realosakaestate.jp/estate.php?n=1661


意外と少ないバイクを置ける賃貸物件。
バイク乗りの皆さんは置き場に困っている方も多いのではないでしょうか。
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できるだけバイクの近くで生活したい!というほどバイクへの愛情が深いOさん。元・材木加工の作業場兼倉庫にバイク5台と入居されました。「家でワクワクできるなんて最高じゃないですか。特に僕は家で仕事していて1日中ほとんど家にいるので、外を走れない雨の日も仕事の合間にもバイクを眺めてはワクワクしています」
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▲天井高5mの空間の迫力は倉庫ならでは。バイク5台を置いても余裕のスペースです。

断熱や防音など住居としての一般的な快適さには多少目をつぶってでも享受できる楽しさがあるよう。
「(冬のお風呂は)寒いですけど、明かりを付けずに外からの明かりだけで入るのが気持ちいいんですよ。風とか雨の音がすごく聞こえて露天風呂みたいに自然を感じれますね。」
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▲ブロックで囲まれた浴室は天井高5mの空間とひと繋がり。トタン屋根に雨が当たる音を聴きながらお風呂に浸かるのが心地良いんだそう。
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▲倉庫内の小さな個室。夏の暑さや冬の寒さはここでしのげます。

本物件は現在入居者募集中!(2017年4月末空き予定)
元倉庫だからこそ実現できる暮らしをしたい方、ぜひ大阪R不動産のページからお問い合わせください。
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■大阪R不動産「倉庫礼讃」
http://www.realosakaestate.jp/estate.php?n=1631
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■その他の写真はWORKSからもご覧いただけます
https://www.a-crafts.co.jp/works/1303/
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Blog内写真:小倉 千明
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ACB special issue 特集「あなたの部屋、見せてください!」

2017年4月8日 土曜日

大阪R不動産、おかげさまで2016年12月に5周年を迎えました!
5年間で出会った物件とお客さんは数知れず。
ACB 最新号では大阪R不動産メンバーが愛を込めて送り出した物件たちの
気になるその後をご紹介しています。
が!取材に協力いただいた皆さんの家や仕事場への愛情は想像以上。
冊子では伝えきれなかったエピソードをスピンオフ連載としてお届けしていきたいと思います。


連載第1回 女ひとり店主の味方
北区豊崎の木造アパートをオフィスにリノベーションした「飛躍しま荘」に入居した谷さん。
平日はOLとして働きつつ、週末と空き時間を使ってリラクゼーションサロンを運営中。

▲小屋組現しの高い天井がなんと言ってもいちばんの特徴。

「バリニーズの手技のサロンって全体的にこげ茶色でバンブー素材で…ってバリ雰囲気のインテリアが多いんですけど、私はこの空間を活かせるインテリアにしようって。梅田から歩いてすぐの隠れ家で、ゆっくり仰向けになった時に低い天井じゃなくて高い天井をみて、ほわ〜ってほうけてもらえれば嬉しいです。」

▲いつ行っても誰かのお土産が置いてある共用部のキッチンにほっこり。 シェアオフィスにも、もちろん普通のオフィスビルにも絶対にないこの物件ならではのコミュニティが出来上がっているよう。

気になる方は月ノ庵さんのBlogも覗いてみてください。
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リラクゼーションサロン 月ノ庵
http://ameblo.jp/kokawanita/
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大阪R不動産「飛躍しま荘」*現在満室です
http://www.realosakaestate.jp/estate.php?n=1530


つづいては庶民派とよそゆきの真ん中くらい、
みんなのもうひとつの家のようなお店になれたら、と話す細田さん。
理想の物件に出会った場所は、あまり馴染みのなかった粉浜という町でした。
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▲大阪で2番目に古い粉浜の商店街。住吉大社も近く地元民に愛される下町です。

それまでお店を構えていた谷町6丁目という大阪中心部から、粉浜への移転は悩みに悩まれました。でも地下鉄四つ橋線で梅田から1本で来れるという意外なアクセスの良さが決め手になったそう!
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▲「展示スペースも見せやすくて言うことなし!」作家のお友達が多い細田さんならではのお店に。
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Instagramでは見てて楽しい料理や粉浜での日常の様子が紹介されています。
「今お店で展示してくれてる子も別の友達も粉浜に住みたい、って検討してるんです(笑)」
と、粉浜の親善大使さながら。
次のお休みは住吉公園でお花見がてら粉浜の散策なんていかがでしょう。

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COCHI CAFE
https://www.instagram.com/cochi_cafe/
https://www.facebook.com/CochiCafe/
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連載第2回は「YES!マイノリティ」
何でその物件選んだの?とみんなが不思議がっても私はココが好き!
そんな思いのつまった場所をご紹介します。お楽しみに。

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