‘日々のひとこま’ カテゴリーのアーカイブ

車離れとクルマ社会

2018年3月17日 土曜日

文= Arts&Crafts 中谷ノボル

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タイのバンコクでTOYOTA車を買うと日本の2倍ほどします。500万円もする車を月給10数万円の人が、大渋滞のなか嬉しそうに乗っています。車離れした日本の若い人はナイわーって思うかもしれませんが、ニッポンも平成の始め頃までは同じような状況だったと思います。車は単なる移動の道具ではなく、その人の勢いをあらわすシンボルでもありました。

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自分もかつてはイキって車2台持ちでしたが、ずいぶん前に手放して乗り物は自転車が中心の生活に。大阪の都心部で徒歩でも通勤できる暮らしでは、マイカーなしの生活に不便は感じません。そして自転車のほうがエコで地球にやさしい、罪悪感もない。そしていざ自転車派になると、危険運転する車が悪魔のように思えてきます。まるで非喫煙者とスモーカーの関係みたいに。

ところがです。仕事で沖縄へ行くようになり状況は一変。戦後のアメリカ統治以降、いまも那覇以外の沖縄は完全にクルマ社会です。自分も最初こそ自転車やバスを使ってみたものの断念。すっかりクルマ社会に染まりました。強風での自転車は辛いし、バスは時間どおりに来ない。今や、すぐそこのコンビニさえ車で行くありさまです。

こちらの高校生は在学中から教習所に通い就職に備えます。働きだすと会社へはマイカー通勤。アパートの家賃には駐車場代まで含まれているのが標準。車がないとデートすることさえできないでしょう。そう、在京メディア発信の情報に接していると、まるで日本全国の若者が車離れしているかのように錯覚しますが、大都市の中心部以外では、いまも普通にクルマ社会なのです。

欧米のコンパクトシティを念頭に「クルマ社会はもうダメ。これからは自転車や徒歩で暮らせる街が進歩的!!」みたいな論説を聞く機会が増えました。でも、それホンマ!? 人力で動く自転車のほうが進歩的だなんて科学技術は捨てたの? 極端じゃない? 公共交通が発達した都市部では自転車や地下鉄、郊外ではクルマが便利。シンプルに、状況に合わせた交通手段を選択すれば良いだけな気がします。

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一方で、自動運転で排ガスもゼロ、そんな地球にも人にも優しいEV車が一般的になる未来はすぐそこ。その頃には、また新しいトレンドや意見が生まれているんでしょうか。でも現段階では、当社が沖縄で運営する SPICE MOTEL へ自動車で来てくださいね。モーテルっていうくらいですから、クルマ前提の立地なのです。スタッフ一同、お待ちしておりまーす!

【コラム】木造戸建ての耐震化工事

2017年5月30日 火曜日

text=枇杷健一(Arts&Crafts 設計監理部門マネージャー)

平成28年度の大阪市耐震改修促進計画で大阪市の木造戸建ての耐震化率を調べてみたところ予想より高く64%でした。えっ!ホンマ?と思い詳しく見れば1982年の新耐震基準以降に建った家はひとくくりに耐震性がある住宅として評価されていました。

一方、新耐震基準以前に建った家の総数は約12万戸弱でそのうち耐震性がある住宅は2万戸で約17%と少ないです。データでは耐震性がある・ないの評価を1982年の前か後かで分けていますが、現場目線では築年数が浅くてもバランスが悪く耐震性が不十分で危険な家はありますし、築年数不詳でも、大工さんの丁寧な仕事が見て取れる耐震性が十分で安全な家もあります。

普段の実務では一概に築年数だけではなく、個々の建物の状況と所有者の維持管理状況も勘案して耐震性を評価することが多いので大阪市の耐震化率には少し違和感を感じてしまいます。

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人力で梁の入替え作業中。他に柱の入替え、耐力壁追加、新規基礎など新築基準同等の耐震化工事を自社の再販物件で実践


大阪市の耐震化率の現状はさておき、これから木造戸建てでリノベーションを考えている方は耐震化工事にも少し目を向けて、「同時期の実施」をぜひオススメします。

と言うのも、耐震化工事単体にかかる費用を見てみると解体費に20%・耐震補強費に40%・復旧費に40%といった内訳となる場合が多く、注目したい点は「剥がすこと貼り直すこと」に総額の60%が掛かっているということ。
いつ起こるかわからない地震に対する耐震化工事が勿体なく思え、費用負担に踏み切れないという傾向が、特に持ち家の方に多く見られます。

でも、リノベーション工事と同時に行えば、間取りの改変や仕上げ材の更新など、「剥がすこと貼り直すこと」は一度で済み、単体の耐震化工事と比較すればコストを抑えることができて耐震化工事のタイミングとしては合理的な訳です。

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アートアンドクラフトの木造戸建ての耐震指針

続けて、アートアンドクラフトが考える木造戸建ての耐震化工事についてもう少し掘り下げていきましょう。冒頭で書いた通り、木造戸建てをまるっとひとくくりに語ることは困難で実務では建物毎の精査はもちろん必要ですが、これまでの木造戸建ての改修実践を元に「現実的な費用で実施可能かつ効果的な耐震化」の方法から、「時間もお金掛かるが、構造建築士も太鼓判を押す現行法最高水準の耐震等級3を目指す耐震化」まで、ユーザーにできるだけわかりやすい目線で6つの選択肢を軸に方針決定をしやすいように「耐震指針」をまとめています。

建物毎の状況やリノベーション予算は様々です。目指す耐震化工事の設定やそれに必要な時間や予算、そこから得られる恩恵をふまえ、ユーザーが理解と納得をし方針決定することで、建物全体の耐震化まではしなくとも、”就寝時の倒壊被害からは逃れるため寝室にはシェルターを設置”、”浮いた予算は間取り変更や仕上げ材にまわす” など予算に優先順位をつけて、耐震化とデザイン的な部分への予算配分イメージもわきやすくなるはずです。

木造戸建てリノベーションを考えているけど、大きな地震のニュースがある度に、耐震性能に不安を抱いていた。耐震化工事についてもっと詳しく聞きたい方はぜひご相談ください。

特集「あなたの部屋、見せてください!」〜番外編②〜

2017年5月13日 土曜日

大阪R不動産ではこれまでたくさんの水辺物件を掲載し何度もコラムを書いてきました。
でも、ごめんなさい。まだまだ伝え足りないのです、水辺の気持ち良さ。

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募集時の様子。何と言ってもリバービューが特徴的な物件でした。

土佐堀川沿いの1戸建て。なんとも贅沢な立地に佇む「オアシスな屋上」という物件。
改装自由なこの物件を借りてくださったのはグラフィックデザイナーと刺繍作家のご夫婦。
イベント時のみ展示スペースを開けている!ということでお誘い頂き駆けつけました。

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屋号はMEZI。階段を上り展示スペースの2階におじゃまします。

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元々は住居だったフロアを展示スペースに改装された室内はお二人のセンスが光る空間に。
元の様子を思い出せないほどの変身を遂げていました。伺ったのは帽子、眼鏡、そして刺繍の展示会だったのですがどれも洗練された作品ばかりでため息モノ。
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半端じゃない開放感、悔しいくらいのリバービュー。居心地良くてついつい長居してしまいました。やっぱり良いなぁ、水辺物件。
この場所は企画展示時のみ開けられるそうなので、素敵な作品と場所を体感しに、機会があれば是非訪れてみて欲しいと思います。

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右:繊細な刺繍作品が壁に飾られていました

■MEZIさんの活動はこちらからご覧ください


なお、本物件の1階は現在入居者募集中!
残念ながらリバービューは得られないのですが、改装OKでポテンシャルに満ちた空間。
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ご興味ある方は物件ページから詳細をご覧ください。
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連載第1回「女ひとり店主の味方
連載第2回「YES!マイノリティ
連載第3回「番外編 その1

【ニッポンの住】「職場と住まいの位置関係」

2017年4月29日 土曜日

text=中谷ノボル(Arts&Crafts 代表)

フリーハンドという社内制度を始めた。原則、勤務場所と勤務時間が自由という、一昔前なら夢のような制度だ。営業時間中は携帯やSkypeで連絡がとれる状態にしなければならないが、自宅やカフェや旅先で仕事してもいいし、その時間帯も自分で決められる。これをいきなり始めたわけではなく、一部社員で短時間労働や在宅勤務を4年ほど試し、またリモートアクセスやweb会議などIT技術を数多く採り入れた結果、今春より発動できるようになった。

この制度で働くと色々と意識改革を迫られるが、きっと職場と住まいの位置関係も見直すことになる。職があるところに人は集まるので、東京や大阪など企業が集中する場所、そしてそこに通える通勤1時間圏内の都会に人口が集中する。しかし、週に5日通うのは大変だが、フリーハンドで1、2度の通勤なら、住まいの選択肢を2時間圏内に広げていいかもしれない。都会大好きな人なら構わないが、もっと緑と太陽を的な人なら、都市近郊の自然豊かな土地も視野に入ってくる。

早速、淡路島の民家をDIYして引っ越した建築士がいる。彼女は普段自宅で設計業務と子育てをし、打合せと呑み会のときだけ船と電車を乗り継いで現場や事務所へ赴く。早ければ1時間半、乗り継ぎが悪いときでも2時間で着くらしい。ちなみに淡路島と明石を結ぶ船は通勤時間帯なら20分に1便の頻度であり、島へ帰る最終便は23:40と結構遅い。2時間圏内だと、他に丹波篠山や白浜、琵琶湖の湖北まで可能かも? 考えているだけで楽しくなってくる。

全労働者の中で週1日以上在宅勤務をしているというテレワーカーは、まだ3%ほどしかいないらしい。しかし興味を持つ労働者は多く、人材確保やコスト削減の面から在宅勤務を採用すべきと考える経営者も増えている。10年後、20年後には、都心のオフィスで働く人は劇的に減り、在宅勤務が一般的な働き方になっているかもしれない。平日を自然豊かな場所で過ごし、週末だけ都会へお泊まりで遊びに行く。そんな逆転現象なライフスタイルも増えていくのだろう。

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船の通勤は旅感満載! 写真は船上から見る神戸の街なみ ちなみに片道500円

特集「あなたの部屋、見せてください!」〜番外編〜

2017年4月21日 金曜日

2015年に掲載した谷六のヤバい小屋という物件を覚えていますでしょうか。

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▲掲載時の様子。今回訪れると隣地の空き地には建物が建っていました。

むき出しの構造体や現役のリフトがアーティスト心をくすぐる、まさに”素の状態”という言葉がふさわしい物件。

この場所を借りてくださった美術家・中島麦さんのオープンアトリエにお誘い頂きスタッフ3人で遊びに行ってきました。
果たしてあの倉庫をどのように使ってくれているのか…胸を高鳴らせながら路地の奥へ。

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▲夕暮れの路地奥にたくさんの人。

扉をくぐると想像以上にアーティスティックな空間が!
3.6mの天井高を存分に活かして絵の具やイーゼルが並べられていました。
脚立の掛け方ひとつにも工夫が凝らされていて感心するばかり。

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▲壁一面に仕事道具がズラリ!

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▲直接ペイントが施された床

冬は底冷えするそうですが夏の暑さはマシだとか。とは言えエアコン無しで過ごせるのはプロ根性によるものなのでしょうか。

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▲2階からリフトを見下げる。油断すると落ちそう。この日はリフトがテーブルになっていました。

空いていた物件が最大限に使われている様子は建物に命を吹き込まれたようで嬉しくなります。

オープンアトリエは3日間のみの開催だったのですが、4月23日(日)まではアトリエ近くのギャラリーで展覧会を開催されているので中島麦さんの作品を見に行けます。お近くの方は是非。
http://plus1art.jp/No17WM.html

こんな倉庫に、また出会いたいなぁ…。

(萌)